2014 Fiscal Year Research-status Report
生殖内分泌調節におけるGH/IGF-I系の役割とBMPの関与
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26860706
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中村 絵里 岡山大学, 大学病院, 医員 (30612634)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生殖内分泌学 / 卵巣 / 成長因子 / 下垂体 / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、GH/IGF-Iを取り巻く内分泌因子として、メラトニンと卵胞局所因子BMPに着眼して、未成熟ラットの卵巣より分離した初代顆粒膜細胞を用い、メラトニンが卵胞ステロイド産生に与える影響について検討を行った。メラトニンは概日リズムの調節や睡眠調節に関与するが、生殖内分泌機能にも影響することが知られている。メラトニン受容体(MT1/MT2)は卵胞顆粒膜細胞にも発現を認め、LH受容体の維持、hCGによるプロゲステロン分泌や、抗酸化作用にも関与するが、その分子機序は不明である。BMP-6は卵胞顆粒膜細胞と卵母細胞に発現し、顆粒膜細胞のcAMP産生を減少して、プロゲステロン合成を抑制する。メラトニンは、顆粒膜細胞でのFSHによる卵胞ステロイドの産生には直接影響を与えなかったが、興味深いことに、BMP-6によるFSH誘導性のcAMPとプロゲステロン合成の抑制、プロゲステロン合成酵素(StAR, P450scc, 3βHSD2)の発現抑制に対して拮抗作用を示した。このメラトニン作用は卵母細胞の存在下でも認められた。BMP-6はMT1受容体の発現レベルには影響しなかったが、メラトニンは抑制性Smadの発現を増加して、BMP-6によるSmadシグナルとId-Iの転写を抑制した。以上より、メラトニンはBMP作用を制御することにより、プロゲステロン合成の維持に寄与するという新たな作用機序が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年に、新たにメラトニンに関する論文が1本掲載決定となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、GH/IGF-Iによる「視床下部kisspeptin→GnRH調節系」および「GnRH/GnIH→下垂体FSH,LH分泌系」への影響を、日内リズム・時計遺伝子作動系と下垂体BMP作動系という新たな「内分泌軸調節系」に着目して、明らかにすることを目標とする。前年度までの直接的な卵巣機能への影響に加えて、組織特異的な生理活性をもつBMPが、HPO系へ与える作用と機序について探求する。ひき続き研究計画に従って研究を進めていく予定。
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Causes of Carryover |
海外学会(米国内分泌学会)の発表・参加を予定していたが、参加しなかったために残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の残金は今年度の研究費として使用し、さらに研究を進めていく予定としている。
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