2015 Fiscal Year Research-status Report
肥満の過食機構の解明―脳内報酬系マイクログリア活性化と神経細胞可塑的変化の役割
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26860712
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 伸子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (50400891)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肥満症 / 過食 / 報酬系 / マイクログリア / 神経可塑性 / 慢性炎症 / 摂食調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度5月から12月の8ヶ月間は産休および育児のための研究中断期間ということで、本研究の研究期間を1年延長申請させていただいた。 申請者は、palatable foodを慢性的に摂取する結果、代謝の変化が生じ、免疫担当細胞をはじめとする様々な因子が末梢のエネルギー状態を中枢神経系に伝えることにより、脳内に慢性炎症がおこり、結果として報酬系に変化が生じ、食べ物の意義付けが変容し、過食が生じると考えている。そこで、マイクログリア活性化と神経細胞の可塑的変化の相互作用の観点から肥満における過食メカニズムの解明を目指している。 平成27年度は、平成26年度の結果を踏まえ、肥満モデルマウス(高脂肪食誘発肥満モデルマウスのタイムコース、餌を戻したマウス、Foxo1, 3aΔDATマウス)の検討を行っている。検討内容は、①報酬価値評価系の確立:マウス個体での食べ物の報酬価値を評価する行動解析(progressive ratio);②空腹感制御機構解析モデルの確立:脂肪からの離脱の検討のため絶食再摂食、Sucroseからの離脱の検討のため、Two-bottle preference test;③側坐核を中心とした、脳内の炎症性変化の評価:qPCRによりマイクログリア活性化マーカーおよび炎症性サイトカインの評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度5月から12月の8ヶ月間は産休および育児のための研究中断期間ということで、本研究の研究期間を1年延長した。解析対象となる動物の作製は終了している。平成28年度に研究推進するための基礎データをこれまでに獲得し、また実験系も確立している。平成27年度は、肥満モデルマウス(高脂肪食誘発肥満モデルマウスのタイムコース、餌を戻したマウス、Foxo1, 3aΔDATマウス)の検討を行っている。検討内容は、①報酬価値評価系の確立:マウス個体での食べ物の報酬価値を評価する行動解析(progressive ratio);②空腹感制御機構解析モデルの確立:脂肪からの離脱の検討のため絶食再摂食、Sucroseからの離脱の検討のため、Two-bottle preference test;③側坐核を中心とした、脳内の炎症性変化の評価:qPCRによりマイクログリア活性化マーカーおよび炎症性サイトカインの評価を行っている。また、平成26年度に行った、高脂肪食誘発肥満モデルマウス視床下部および海馬のマイクロアレイ解析を手掛かりに、脳内広範囲の肥満に伴う変化についても検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食やsucroseがイニシエーターとなる過食病態のタイムコースを確認し、経口摂取から過食が成立するまでの行動学的および分子生物学的経時的変化を明らかにする。分子生物学的にはリアルタイムPCRによる網羅的定量mRNA解析を手掛かりに、その後はタンパク質レベルでの解剖学的および時間的な解析を行っていく。さらに、局所で活性化されるマイクログリアと骨髄より遊走してくるマイクログリアが、肥満病態においてどのような役割分担をしているかを明らかにするため、肥満症関連モデルマウスの脳の経時的FACS解析を行う。さらに、マイクログリア活性化阻害薬であるミノマイシン投与による代謝への影響について解析をおこなう。また、肥満症における減量治療がこれらの変化にどのような影響を及ぼすのかについても検討し、肥満症治療の意義についても明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
平成27年度に産休および育児のための研究再開支援期間をいただいたため、本研究費を使用せず、これまでの資源を用いて研究を継続した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本来平成27年度に最終年度として行う予定であった前述の研究計画を実施する。
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[Journal Article] Brain-specific natriuretic peptide receptor-B deletion attenuates high-fat diet-induced visceral and hepatic lipid deposition in mice.2016
Author(s)
Yamashita Y, Yamada-Goto N, Katsuura G, Ochi Y, Kanai Y, Miyazaki Y, Kuwahara K, Kanamoto N, Miura M, Yasoda A, Ohinata K, Inagaki N, Nakao K.
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Journal Title
Peptides
Volume: 81
Pages: 38-50
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Neuronal cells derived from human induced pluripotent stem cells as a functional tool of melanocortin system.2016
Author(s)
Yamada-Goto N, Ochi Y, Katsuura G, Yamashita Y, Ebihara K, Noguchi M, Fujikura J, Taura D, Sone M, Hosoda K, Gottschall PE, Nakao K.
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Journal Title
Neuropeptides
Volume: submitted
Pages: 印刷
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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