2015 Fiscal Year Annual Research Report
造血システムにおけるU2AF1遺伝子変異の役割および分子機序の解明
Project/Area Number |
26860730
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片岡 圭亮 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 特定助教 (90631383)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 骨髄異形成症候群 / 遺伝子改変マウス / U2AF1 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄異形成症候群において高頻度に認められるU2AF1 S34F変異の造血系における機能を検討するために、U2af1 S34F変異条件的ノックインマウスの解析を行った。当初、loxP部位の向きによりCreリコンビナーゼがDNA断片を切り出したり、反転したりする性質を利用して、野生型loxPと変異型loxPを導入することにより(FLEXスイッチ)、Cre非存在下では野生型アレルを発現するが、Cre存在下では野生型アレルは消失し、変異型アレルが発現する条件的ノックインマウスを作成した。しかし、Vav1-creマウスとの交配では、当該遺伝子座の組換えおよびU2af1変異アレルの発現が確認出来ず、Mx-creマウスとの交配では、10-20%程度の当該遺伝子座の組換えとU2af1変異アレルの発現を認めたのみであった。後者のマウスを用いて末梢血や骨髄・脾臓などの造血組織における各造血細胞系列の評価をフローサイトメトリーにより用いて行ったが、表現型に違いを認めなかった。この原因として、S34F変異アレルの発現が低いために表現型を検出できなかった可能性が考えられたため、U2AF1変異が存在するエクソン2の5'側にloxPに挟まれたSTOP配列を挿入し、その3'側に変異アレルを挿入したエクソン2を導入した条件的ノックインマウスを作成した。このマウスでは、Cre非存在下では遺伝子改変アレルはU2af1を発現せず、Cre存在下では変異型アレルを発現する。この遺伝子ターゲティング戦略は、FLEXスイッチと比較して、Cre非存在下でU2af1を発現しないという欠点を持つが、loxPに挟まれた領域の組換え効率は高くなることが期待でき、より高率なU2af1発現が得られることが望まれる。現在、作成済みのマウスをキメラマウスが得られており、今後Cre発現マウスと交配予定である。
|