2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜エストロゲン受容体GPR30の喘息病態への関与と新規治療薬の探究
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26860743
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
竹田 正秀 秋田大学, 医学部, 助教 (30466594)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 喘息 / アレルギー / 好酸球 / GRP30 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息の発症には男女差があることが知られている。これまで様々な要因について喘息の性差のメカニズムに関する研究が行われているが、エストロゲンなど性ホルモンに関わる要因についても動物実験でその影響が報告されている。今回、我々は、エストロゲンの細胞膜受容体として近年同定されたGPR30に着目し、喘息を中心としたアレルギー性炎症における役割を動物実験にて検討した。雌性マウスにOVAによる感作・曝露を行い喘息疾患マウスを作成し、曝露の段階でGPR30の合成アゴニストであるG-1を投与することにより、アレルギー性炎症への影響を検討した。結果、G-1投与群では、非投与群と比較して気道炎症の有意な抑制が認められた。マウスの気管支肺胞洗浄液中の好酸球もG-1投与で有意な抑制が認められた。次に気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン産生についてELISA法を用いて検討したところ、アレルギー性気道炎症に関わるIL-5, IL-13の有意な低下がG-1投与群において認められた。一方、IL-4, IL-10については有意な差を認めなかった。これまでの研究において、GPR30刺激がアレルギー性炎症に対して抑制的に働く可能性が示唆された。本研究は喘息の性差のメカニズムやその治療にも発展が期待される研究であると考えられる。本研究では気管支肺胞洗浄液中のIL-10は変化を認めなかったが、IL-10はアレルギー性炎症において抗炎症的に作用するサイトカインであると考えられている。現在IL-10ノックアウトマウスを用いて、今回の研究のメカニズムについてさらにアプローチしていく予定である。またヒト好酸球を分離し、生体細胞におけるGPR30の関わりについても研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GPR30の喘息病態への関与について実験動物を用いてその影響について、検討し、有意な結果を得ている。今後はヒト好酸球を用いた研究によって生体細胞への関与についても検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-10ノックアウトマウスを用いて、今回の研究結果のメカニズムについて検討を加えていく予定である。また生体細胞へのGPR30の影響について、ヒト好酸球を分離し、生存や遊走への関わりについて検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
特にマウス気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン測定において、使用するELISAキットが相当数必要と考えていたが、想定したよりも少ないキットで効率的に結果を得ることができた。また、マウスも想定より少ない数で効率的に結果を得ることができた。翌年度はマウスの実験のメカニズムのさらなる究明やヒト好酸球をもちいた実験において、それぞれで、ELISAキットや好酸球分離のための試薬など様々な試薬、測定キットが必要になると考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの実験:ノックアウトマウスの購入・維持費 ELISAキットなどの測定キット ヒト好酸球の実験:好酸球の分離試薬、遊走能や生存能測定のための各種試薬
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