2014 Fiscal Year Research-status Report
C57BL/6背景のSKGマウスを用いたSLEの疾患モデルの構築
Project/Area Number |
26860749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 求 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60512845)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | SLE / 関節リウマチ / T細胞 / 動物モデル / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
SKGマウス(BALB/c背景)をC57BL/6マウスにバッククロスし、C57BL/6背景のSKGマウスを作成した。無治療のC57BL/6-SKGマウスのphenotypeは正常であったが、TLR3を刺激するpolyI:Cをosmotic pumpを用いて2週間持続投与すると、腎炎が発症が観察された。腎組織ではメサンギウムが増殖しており、免疫組織染色によりIgGとC3の沈着がみられ、血清中に抗ds-DNA抗体が観察されたことからループス腎炎であると考えられた。コントロールとして用いたC57BL/6マウスや、BALB/cマウス、BABL/c-SKGマウスにはループス腎炎の発症はみられなかった。TLR7を刺激するImiquimodやTLR9を刺激するCpGの投与によっても同様の病変が観察された。 C57BL/6-SKGマウスのループス腎炎発症のメカニズムを解明するために、脾臓細胞のフローサイトメトリーを行い、SLEの病態に関連するfollicular helper T細胞(CD4+ CXCR5+ PD-1+ Bcl6+)や、Germinal Center B細胞(B220+ AA4.1+ Fas+ GL-7+)について調べた。ループス腎炎を発症したC57BL/6マウスにおいては、follicular helper T細胞(5-10%)と、Germinal Center B細胞(1-2%)の増加が認められた。polyI:Cを投与しないC57BL/6-SKGマウスにおいても、follicular helper T細胞の増多は認められ、SKGマウスの原因遺伝子ZAP70の変異によりT細胞の自己反応性が亢進していることが原因であると考えられた。 BALB/c背景では関節リウマチを発症するSKGマウスの遺伝的背景をC57BL/6背景にかえることでループス腎炎の発症を観察でき、自己免疫疾患の発症には、共通の遺伝的背景と自然免疫の活性化が寄与する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に記載した仮説のとおり、C57BL/6背景のSKGマウスに自然免疫系の刺激を加えることで、ループス腎炎の発症を観察できた。また、その分子メカニズムについて、follicular helper T細胞やGerminal Center B細胞の関与を示すデータが得られた。 この動物モデルを用いて、今後さらに詳細な病態解明を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
C57BL/6-SKGマウスで増加しているfollicular helper T細胞やGerminal Center B細胞についてより詳細な機能解析を行う。 ループス腎炎を発症したC57BL/6-SKGマウスのCD4T細胞を、T細胞をもたないTCRbKOマウスに移入することで、TCR-bKOマウスにループス腎炎が発症するか、follilcular helper T細胞やGerminal Center B細胞が増大するか、などを観察することにより、SKGマウスのT細胞刺激伝達系の異常がどのようにSLEの発病につながるかという病態解明ができると考えている。 マウスで得られた知見について、ヒトSLE患者でも同様の細胞群が増加しているか検討する。
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Causes of Carryover |
消耗品購入に伴う少額端数が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度研究計画に従って使用予定。
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