2014 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性関節リウマチ患者におけるHTLV-1感染の影響
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26860754
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
梅北 邦彦 宮崎大学, 医学部, 助教 (20506084)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / HTLV-1感染 / 自己免疫疾患 / 抗サイトカイン療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1陽性関節リウマチ(RA)患者がTNF阻害療法に対して治療抵抗性を示すメカニズムを解析するにあたり、HTLV-1陰性RA患者群と陽性RA患者群の末梢血におけるTh1、Th2、制御性T細胞、Th17の分化・活性化に関連するサイトカインの網羅的解析を行った。その結果、HTLV-1陽性RA患者の末梢血では炎症性サイトカインであるIL-6やTh17細胞の走化性因子として働くCCL20が高値であった。また、HTLV-1陽性RA患者群の末梢血では可溶性IL-2受容体濃度も高い傾向であった。血漿中TNFα、IL-1β、IL-17などのサイトカイン濃度については両群間で差が無かった。これらの結果は、HTLV-1陽性RA患者は陰性RA患者に比べてTNF阻害療法導入前のCRPや疾患活動性が高いことを反映する結果と考えられ、HTLV-1陽性RA患者ではIL-6が病態形成に重要である可能性が考えられた。このサイトカイン解析の結果を踏まえ、HTLV-1感染細胞株(MT2,Hut102)とヒトRA線維芽細胞様滑膜細胞(FLS)のdirect interactionを回避した共培養系を確立し、HTLV-1感染細胞株のRAFLSへの影響を検討した。この結果、HTLV-1感染細胞株ではIL-6を中心とした複数の炎症性サイトカインの発現が亢進し、可溶性IL-6受容体(sIL-6R)を産生することを確認した。また、共培養下のRAFLSではNFkB、STAT3やp38MAPKのリン酸化が誘導され、IL-6、CCL20、VEGF、MMP-1、-3、-9などRAの病態形成に重要なメディエーターの遺伝子発現が亢進することを確認した。次年度は、HTLV-1陽性RA患者由来PBMCでもRAFLSの活性化を誘導できるかどうか、RA治療薬である抗IL-6R抗体で共培養によるRAFLSの活性化を阻害することができるかなどin vitroで検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HTLV-1陽性関節リウマチ(RA)患者の末梢血ではIL-6、CCL20が高値であることが示された。また、HTLV-1感染細胞株は炎症性サイトカインを恒常的に産生し、関節リウマチ由来線維芽細胞様滑膜細胞(RAFLS)を活性化することが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
HTLV-1陽性RA患者由来末梢血単核球(PBMC)でもRAFLSの活性化を誘導できるかどうか検討し、RAFLSの活性化機構の詳細な解析を行う。また、抗IL-6R抗体などRA治療薬で共培養によるRAFLSの活性化を阻害することができるかなどin vitroで検討する予定である。
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