2014 Fiscal Year Research-status Report
小児喘息のphenotype-endotypeに寄与するバイオマーカーの解明
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26860762
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
林 美雪 日本医科大学, 医学部, 助教 (70350113)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小児気管支喘息 / バイオマーカー / phenotype / endotype / 呼吸機能検査 / 呼気凝縮液 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息(以下、喘息)の治療は近年格段に進歩し、QOLと予後の改善が改善する一方で治療抵抗性の重症喘息患者が問題となっているが、小児喘息のphenotype解明への取り組みは進んでいない。本研究は、以下の方法で小児喘息におけるphenotype-endotypeの存在を明らかにすることを目的としている。①血中炎症性バイオマーカーの分析 ②呼気温度測定 ③呼気中の炎症性バイオマーカーの分析 ④呼吸機能検査による気道閉塞性の評価 ⑤喀痰中炎症性バイオマーカーの分析 ⑥アレルゲン・LPS・DEPの刺激によるTリンパ球及びバイオマーカーの変化の分析。 本研究は、未だ喘息のphenotype-endotypeの解明が進んでいない小児科領域において、実際の患者における血中および呼気中バイオマーカーの測定、喀痰分析、リンパ球分離・刺激という複数の手法を用いて行う点に大きな意義がある。本研究によりphenotyope-endotypeの存在を明らかにすることによって、個々の患者がどのphenotypeに属するかを明確化でき、長期的には各phenotypeの予後を予測することが可能になる。また、将来的に臨床現場で各phenotype-endotypeをtargetとしたtailor-madeな治療法を開発・選択することにつながると期待される。 平成26年度は、目標とするphenotypeの中でも、早期発症Th2依存型(アトピー性)喘息、アレルギー性鼻炎関連喘息、Th2非依存性好酸球依存型喘息に属すると目される患者から研究参加の同意を得、実際に測定・検体採取を開始することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小児科におけるアレルギー外来では、気管支喘息以外に食物アレルギー、慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎など多様な疾患を診察しなければならず、呼吸機能検査に十分な時間が取れない。研究代表者が担当しているアレルギー外来では、一人につき10 ~ 15分程度の診察時間しか設けることが出来ず、この時間内に通常の問診、診察、検査、処方、次回診察日設定のすべてを行うため、研究についての説明を行うことはほぼ不可能であった。ようやく平成26年11月から、本研究についての説明、同意取得、実際の測定・検体採取を目的として呼吸機能検査外来をアレルギー外来とは別に設けることができることになり、研究参加同意者が現れるようになった。 また、呼吸機能検査や呼気中一酸化窒素分画(FeNO)測定には、手技に一定の習熟が必要であり、特に小児患者においては習熟に個人差があり必ずしも1,2回の診察で患者の手技が至適水準に達するわけではない。従って、本研究への参加を呼びかけるに当たり、患児が通常の呼吸機能検査やFeNO測定を十分に成しえることが必要条件となる。このため、症例数が思うように増やせなかった。 本研究には、多摩永山病院からも参加者を募る予定であるが、平成26年度は、まず責任施設である付属病院小児科で研究参加者を得るまでに時間を要し、従って多摩永山病院での研究参加者は得られなかった。しかし、多摩永山病院の小児科外来で呼吸機能検査を日常的に実施できるような体制が整うなど、一定の前進があった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、より多くの研究参加者を得るべく、呼吸機能検査外来での研究についての説明を積極的に行い、同意が得られた場合は、迅速に実際の検体採取に移行する予定である。すでに1回目の検体採取を終えている研究参加者については、2回目の測定・検体採取(発作時あるいは非発作時)の機会を探り、検査を行ってゆく予定である。 コントロール群についても、患者・家族に対し本研究の目的と意義を説明し、参加者を多く募ってゆく予定である。 小児では、採血に対する患者本人および家族の抵抗感が強く、1年に1回の血液検査でも精神的負担に感じている者も少なくない。そんな中、本研究では、発作時および非発作時の2回の採血を強いることになるが、結果から得られる内容の意義を理解してもらい、最終的には患者本人はもとより、喘息患者全体および小児科医療全体の利益となり得る情報が本研究により得られることになることを粘り強く説明してゆく。
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Causes of Carryover |
前述の通り、多摩永山病院では呼吸機能検査が気管支喘息患者に対しルーチン検査として行われるようになったばかりであり、呼気凝縮液の採取には至らなかった。よって、呼気凝縮液採取機器を永山病院に購入することは次年度に見送る事となった。また、付属病院小児科においても、研究参加者からの血清および呼気凝縮液の検体数が依然少ないため、バイオマーカー測定のためのELISA キット購入は次年度以降に見送る事となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多摩永山病院での検体採取のために、呼気凝縮液採取キットを購入する。また、検体を分注して保存するための機器も準備する。研究代表施設である付属病院小児科では、検体数が集まり次第順次血中および呼気中バイオマーカー測定を開始するためのELISAキットを購入する。
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Research Products
(2 results)