2014 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ後の二次性肺炎球菌性肺炎の発症および重症化における関連因子の解明
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26860769
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 茂樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20399752)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 肺炎球菌 / 二次性肺炎球菌性肺炎 / マクロライド系薬 / CCL2 / マウスモデル / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した研究成果 主として、1)研究に不可欠な二次性肺炎球菌性肺炎の動物モデルの確立 2)マクロライド系薬の免疫修飾作用の検討を中心に行った。1) 二次性肺炎球菌性肺炎マウスモデル:使用動物はC57BL/6マウス(雌、6週齢)、使用インフルエンザウイルス: strain PR8 (influenza A/Puerto Rico/8/34)、使用肺炎球菌 clinical isolate strain D39。C57BL/6マウスにPR8 100TCID50 を経鼻接種し、その5日後に肺炎球菌D39株 2X106 CFU/mLの経鼻接種を行った。単独感染群と比較し、重複感染群では肺炎球菌感染4~5日目でマウスは全数死亡し、肺内生菌数も肺炎球菌単独感染群と比較し、重複感染群では2~3log10 CFU/mL上昇していた。肺病理像では重複感染群において著明な炎症細胞浸潤が認められており、既報と比較しても二次性肺炎球菌性肺炎マウスモデルとして使用可能と考えられた。2)マクロライド系薬の免疫修飾作用の検討 本研究では、二次性肺炎球菌性肺炎のマクロライド系薬による予後改善効果の検討も行うが、病原因子の抑制または宿主免疫調整作用など多彩な作用機序の存在が予想される。宿主免疫に対する作用として、マウスの腹腔内マクロファージを抽出し、15員環マクロライド系薬であるクラリスロマイシン、アジスロマイシンに対する反応性を検討した。その結果、マクロファージ遊走性ケモカインであるCCL2の産生がマクロライド刺激によって亢進することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次性肺炎球菌性肺炎のマウスモデルが作成でき、マクロライド系薬の宿主免疫賦活に関する新規作用機序を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、肺炎球菌の病原因子欠損株を米国の共同研究者より譲り受け、作成した二次性肺炎球菌性肺炎マウスモデルに感染させる。野生株と比較し、欠損株において生存率が改善すれば、二次性肺炎球菌性肺炎の重症化に関連する病原因子の可能性があると考え、マクロライド系薬によるmRNA発現への影響、野生型株の二次性肺炎球菌性肺炎マウスモデルにおけるマクロライド系薬投与による生存率、肺内生菌数、肺病理像などを改善作用などについて検討する。さらに、得られた病原因子の肺炎重症化に関わる詳細なメカニズムについて呼吸器系上皮細胞や免疫担当細胞などを用いたin vitro実験系で解析する。
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Causes of Carryover |
本研究は2年計画で申請しており、研究計画が次年度まで継続、進行中であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続中の研究に使用する消耗品や実験動物の購入、学会発表の旅費や論文作成費に充てる。
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Research Products
(3 results)