2014 Fiscal Year Research-status Report
全エクソン解析によるてんかん性脳症の表現型に関与する遺伝学的修飾因子の検討
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26860781
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中村 和幸 山形大学, 医学部, 助教 (20436215)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | てんかん / 全エクソン解析 / 脳形成異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかん性脳症とは、小児期に発症しけいれん発作や脳波異常によって発達に重篤な影響を及ぼす疾患である。これらの疾患群の遺伝学的背景を明らかにするため、次世代シーケンサーを活用した網羅的解析(共同研究)を行った。 結果、2家系にGRIN2A変異を同定した。症例1は手の常同運動、呼吸異常、重度精神遅滞やてんかんを有する非典型的レット症候群の女児で、新生突然変異(c.1643C>G)を認めた。これまでに非定型的レット症候群ではGRIN2A変異は報告されていない。症例2は自閉症スペクトラムを伴う分類不能てんかん性脳症の症例で、スプライス変異 (c.1007 + 1 G>A)を認め,てんかんの既往がある母と母方祖母も同様の変異を有していた。この成果により、GRIN2A変異による疾患スペクトラムがより広いものであることが明らかとなった。 またてんかんを伴う脳形成異常に対する全エクソン解析により、1例にASPM遺伝子の複合へテロ変異(c.3055C>T; c.6750delT)を同定した。この内c.6750delTはこれまで報告のない新規変異であった。本症例は小頭症(-7.6SD)、難治性てんかんを認め、ASPM変異を認める他の症例と比較して、より重度な精神運動発達遅滞を呈していた。また頭部MRIでは前頭葉優位なpachygyriaが認められ、ASPM変異を伴う原発性小頭症では前頭葉優位に脳形成異常を伴うことが特徴の一つである可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、てんかん性脳症と脳形成異常症を対象として全エクソン解析を計14例に施行した。現在は抽出したvariantの絞り込みなどデータ解析を行っている。当該年度では有力な候補遺伝子の変異は同定されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
原因不明のてんかん性脳症やてんかんを伴う滑脳症や小脳脳幹低形成など脳形成異常の症例に対して、全エクソン解析を用いて原因遺伝子の同定を行っていく。更に抽出された変異に対してはSanger法で確認を行っていく。 次年度は、Ion Protonを用いた全エクソン解析を70例程度に対して行い、疾患原因の解明を推進していく。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーを主に使用する研究を推進しているが、当初の予定より物品費が少なくなっている。また、海外学会への参加を予定していたが、次年度へ変更したために旅費も予定より減額した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、次世代シーケンサー関連試薬(Ion Ampliseq Exome RDY Kit,Ion PI Hi-Q Chef Kit)を購入する予定である。また国際学会旅費として、International Epilepsy Congress(イスタンブール,トルコ)へ参加する予定であり、その経費にあてる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Paternal Germline Mosaicism of a SCN2A Mutation Results in Ohtahara Syndrome in Half Siblings.2014
Author(s)
Zerem A, Blumkin L, Goldberg-Stern H,Michaeli-Yossef Y, Halevy A, Kivity S, Nakamura K, Matsumoto N, Leshinsky-Silver E, Saitsu H, Lerman-Sagie T
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Journal Title
Eur J Pediatr Neurol
Volume: 18
Pages: 567-571
DOI
Peer Reviewed
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