2014 Fiscal Year Research-status Report
パーソナルゲノミックスに基づくファロー四徴症の遺伝的成因の解明
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26860784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
犬塚 亮 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00597560)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ファロー四徴症 / 先天性心疾患 / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファロー四徴症は先天性心疾患の約10%を占める頻度の高い疾患である。また、本症をはじめとするConotruncal defectの遺伝のリスクは通常の約11倍(1.3%)であること、また、患者のFirst degree relativeの3.1%に先天性心疾患が認められたとの報告からも、ファロー四徴症の成因には遺伝的要素が関与していると考えられている。しかし、単一遺伝子座の異常の浸透率は低いことから、複数の遺伝子座による発病モデルが考えられている。ファロー四徴症の15%に22q11.2欠失症候群、7%にダウン症候群を認め、現在までに、NKX2.5、GATA4、TBX1、FOXH1、FOG2などの転写因子CFC1、NOTCH1、NOTCH2、GDF1、TDGF1、JAG1などのLigand-receptorのHaploinsufficiencyが原因となることが知られているが、約2/3の患者において原因は不明である。また、これらの遺伝子は、ファロー四徴症以外の先天性心疾患の発生とも関与することがわかっており、発症の詳細な分子機構はいまだ不明である。 ファロー四徴症が家族内に複数発生している2家系について、全エクソーム解析を行ったところ、1家系についてはJAG1の変異を認め、この変異はアラジール症候群で既報の変異であった。アラジール症候群では、ファロー四徴症をはじめとする心奇形を合併することが知られている。残りの1家系については、ファロー四徴症に関する既報の変異は見つからなかったが、家系の分析から心奇形の原因遺伝子となりうる候補遺伝子をいくつか同定した。これらの遺伝子に関して機能解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次世代シークエンサのスケジュールが混雑しており、エクソーム解析に予定より時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの検体について全エクソーム解析を中心に解析を進めると同時に、機能解析の実験系を確立する。
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Causes of Carryover |
本研究費の大部分は、全エクソーム解析の際の試薬に使われる予定である。現時点で行った2家系の全エクソーム解析は、既に購入してある試薬を用いて行ったため、実支出と支出の予定額に差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額と翌年度分の助成金は主に、残りの検体の全エクソーム解析の試薬購入に使用される。
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