2014 Fiscal Year Research-status Report
NK細胞へのIL-21遺伝子導入: 新たな細胞療法の開発
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26860785
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高地 貴行 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70444164)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 細胞療法 / NK細胞 / 遺伝子改変 / IL-21 / 小児 / 悪性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず分泌型と膜結合型IL-21発現レトロウイルスベクターを作成した。IL-21mRNAはPHA刺激リンパ球からPCR法で増幅した。レトロウイルスベクターMSCV-IRES-GFPのマルチクローニングサイトのEcoRI-XhoI間にIL-21遺伝子を組み込むために、IL-21遺伝子配列の5’側と3’側の両端に両制限酵素配列を付加してクローニングプライマーを作成した。IL-21遺伝子内にEcoRIと同一配列があるため、EcoRI配列を同一アミノ酸をコードする配列に変更しプライマーを設計し、SOE-PCR法でIL-21遺伝子を増幅した。IL-21遺伝子非発現コントロールベクターとしてMSCV-IRES-GFP-mockも作成した。膜結合型として、IL-21 mature peptide配列を残し、CD8 signal peptide、hinge とtransmembrane 配列を加えたコンストラクトでベクターを作成した。 次に、作成したベクターを用いて、NK細胞へのIL-21遺伝子導入を試みた。作成ベクターMSCV-IRES-IL-21-GFPを293T細胞株にトランスフェクションしIL-21発現レトロウイルスを精製した。Hela細胞へ感染させ、IL-21蛋白発現を、フローサイトメトリーでGFP発現を見ることにより確認した。 体外増幅NK細胞へ遺伝子導入を試みたところ、導入効率はGFP発現で60-90%と十分であった。IL-21導入NK細胞の体外増幅効率やIL-2除去に対する抗アポトーシス効果などNK細胞の性質変化を調査中である。また試験的にE/T ratioを1:1から0.125:1まで4段階に振り分け、K562細胞株に対する4時間での細胞殺傷率を検討したところ、顕著な有意差は認めず問題点を整理している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画ではIL-21遺伝子導入レトロウイルスベクターの作成と、そのベクターによるNK細胞へのIL-21遺伝子導入を行い、IL-21導入NK細胞の機能解析を始めることが第一目標であった。現時点ですでに分泌型と膜結合型のIL-21発現ベクターを作成しており、計画に準じている。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-21分泌型遺伝子導入NK細胞について、現在K562細胞株、Jurkat細胞株、Raji細胞株などに対する殺細胞効果を、IL-21を発現しないmockレトロウイルスベクター導入NK細胞と比較する試験を開始している。近いうちに結果を評価できる予定としている。 膜結合型については遺伝子導入効率やIL-21蛋白発現を確認してから、殺細胞効果やNK細胞の機能変化について評価する必要がある。 現時点での問題点として、本来のIL-21mRNA配列中のEcoRI配列を変化させているため、実際のIL-21蛋白の高次構造とは変化している可能性を考え、EcoRI配列を元に戻したIL-21遺伝子導入ベクターを作成した。今後はそのIL-21 EcoRI-raw/revised レトロウイルスベクターで導入したIL-21遺伝子導入NK細胞においても殺細胞効果や増幅効率、NK細胞の寿命に与える影響などを評価予定である。 機能解析内容についてはNK細胞の体外増幅効率やIL-2除去によるアポトーシス抵抗性については観察を始められているが、STAT3の発現やテロメアとの関連については未検索である。実際の実験データを評価しながら今後の計画を見直す必要性を考慮する。
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Causes of Carryover |
予定通りに使用している。差額は小額でほぼ計画通り順調に進んでいる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
すでに次年度会計として、必要な抗体や培養液などの納入費に充てている。今後も予定通り使用したい。
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