2016 Fiscal Year Research-status Report
NK細胞へのIL-21遺伝子導入: 新たな細胞療法の開発
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26860785
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高地 貴行 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (70444164)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝子改変 / NK細胞 / 膜結合型 / 分泌型 |
Outline of Annual Research Achievements |
NK細胞の悪性腫瘍細胞に対する細胞障害活性を向上する手段として、NK細胞へのインターロイキン21(IL-21)遺伝子導入の有効性を検証している。IL-21蛋白分泌型と膜結合型遺伝子導入NK細胞を作成した。膜結合型は分泌型に比してIL-21サイトカインによる全身作用を軽減できる可能性がある。細胞障害活性を中心とした細胞機能を評価し臨床応用の可能性を模索している。 IL-21発現ベクタークローニングから、以前より確立した対外増幅法を用いて得たNK細胞に遺伝子導入を行った。K562細胞を対象にMock遺伝子導入NK細胞との細胞障害活性の差を比較検討したところ、K562細胞に対する殺傷能の増強を証明した。実際にIL-21発現の増強とパーフォリン、グランザイムBの高発現を確認した(FACS)。 IL-21発現NK細胞はIL-21遺伝子導入によりJAK-STAT5の系からJAK-STAT3シグナリングが増強すること、テロメラーゼを介した効果から細胞寿命の延長効果を期待したが、IL-2添加の有無では細胞寿命の延長効果は認めなかった。 膜結合型IL-21発現NK細胞と分泌型IL-21発現NK細胞の殺細胞効果の検討を行ったところ、標的細胞とIL-21遺伝子導入NK細胞を4時間共培養して標的細胞の残存数をFACSで検討した。絶対値での観察では、膜結合型IL-21発現NK細胞で若干の抗腫瘍効果の増加を認めた。現時点で統計学的に優位な差は認めないが最終的な結果の解釈をすべく繰り返し実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞寿命延長効果が現象として明確でないため、分子生物学的検討を行う意義が少ない可能性が高い。 細胞障害活性の評価においては、K562細胞と4時間あるいは72時間共培養する系で、分泌型IL-21導入NK細胞はmockNK細胞に比して有意差を持って殺細胞効果の増強を認めた。今後は共培養する時間や細胞比率を変更しながら最適な実験系を検討している。分泌型と膜結合型IL-21遺伝子導入NK細胞で殺細胞効果を比較しながら、臨床応用を目指した動物実験での有効性検証を実施できるか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
分泌型IL-21遺伝子導入NK細胞は細胞寿命延長効果をin vitroで認めた。IL-21遺伝子導入により殺細胞効果は増強していると考えているが、分泌型あるいは膜結合型のIL-21遺伝子導入NK細胞がmock導入NK細胞に比してin vitroで十分な殺細胞効果が増強することを再度確認する。その上で分泌型と膜結合型での殺細胞効果の差の有無をより詳細に検証し、臨床応用へ向けたin vivoモデルでの検証を費用対効果も含めて行うべきか検討を要する。
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Causes of Carryover |
28,508円と差額は少額で、ほぼ予定通りの支出となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ほぼ予定額の収支となり、他の用途に使用できない。 予定通りの支出を継続する予定である。
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