2016 Fiscal Year Research-status Report
線維細胞を指標とした気道リモデリング進展リスク評価法の確立
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26860787
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
林 仁幸子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (70584853)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 繊維細胞 / 気道リモデリング / IL-9 / IFN-Lamda / IFN-beta |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢血中の繊維細胞数を評価するには従来、単球細胞を分離し、一旦培養して付着する細胞を用いて検討されてきた。しかし、この方法では、付着細胞を培養器から剥離して数える必要があり、正確な繊維細胞数を確定するには大量の血液が必要となり、小児患者を対象とした検討に用いることは困難であった。そこで、本年度は少量の血液を用いて、末梢血中の繊維細胞をCD3-, CD19-,CD20-,CRTH2-,CD11b-, CD115- CD16-, CD45+, CD34+をマーカーとして マルチカラーによるフローサイトメータで測定する方法を確立することができた。これにより、採血量が制限される年少児においても末梢血中繊維細胞を効率良く測定できるようになった。 気道リモデリングに関わる因子を解析するため、末梢血単核球分画から分離した付着細胞を培養し、誘導した繊維細胞を用い、マスト細胞の増殖に関与してTh2細胞が産生するIL-9の繊維細胞に対する影響を検討した。その結果、IL-9は濃度依存性に繊維細胞の増殖を増強することが明らかとなった。 小児の気管支喘息の発症増悪には下気道感染が重要な役割を持つ。そこで、ウイルス性気道感染時に産生されるIFN-betaやIFN-Lamdaが、気道リモデリングにどうのような影響を与えるかを検討した。その結果、IFN-betaやIFN-Lamdaは、濃度依存性に繊維細胞の増殖を抑制することが明らかとなった。また、同じ濃度当たりの抑制効果はIFN-betaの方が顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までは産休・育休を取得していたこともあり、年度初めの研究再開時に、実験系のセットアップに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢血中繊維細胞数をモニタリングする方法が確立できたことから、今後、気管支喘息の発症・増悪に関わるとされるRSウイルス感染、ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマ感染患者を対象に、感染時の経過とともに繊維細胞数の変化を解析し、その後の呼吸器症状との関連性を解明する。 単球分画から誘導した繊維細胞を利用し、IL-9が繊維細胞機能にどのうような影響を与えるかを検討する
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Causes of Carryover |
産休・育休明けで実験を再開したこともあり、年度当初は、実験に必要な血液の入手手続きの確保に時間がかかっため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予算の一部と、実験助手の人件費に割り当てることで、実験の効率化を計る要諦である。
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