2015 Fiscal Year Annual Research Report
若年性骨髄単球性白血病の急性転化における分子遺伝学的機構の解明
Project/Area Number |
26860794
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥野 友介 名古屋大学, 医学部附属病院, 特任講師 (00725533)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 若年性骨髄単球性白血病 / 次世代シーケンサー / 全エクソーム解析 / 急性転化 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性骨髄単球性白血病(Juvenile myelomonocytic leukemia; JMML)は、稀少疾患ではあるが長期生存率が50%前後の予後不良な疾患である。同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療であるが、同治療を行ったとしても予後は依然として厳しい。近年、我々はJMMLを対象とした網羅的遺伝子解析を行い、新規原因遺伝子(SETBP1遺伝子、JAK3遺伝子)の発見に至った(Nature Genetics 2013; 937)。今回の研究の目的は、上記の研究を発展させるために、JMMLにおける病態の進展の中でも、急性転化(blast crisis)の分子遺伝学的機構を解明することである。 本年度は、昨年度に全エクソーム解析等を施行した3例のJMML急性転化例について、ヘテロ接合性消失、あるいは融合遺伝子等も対象とした、さらなる網羅的な解析を行った。JMML発症後に肉腫形成へと進展した1例では、JMMLの原因遺伝子変異であるNRAS変異がuniparental disomyによるヘテロ接合性消失を起こし、機能獲得変異がホモ接合となっていること、さらには6番染色体短腕に存在するヒト白血球抗原(HLA)の片アリルが失われ、免疫学的な攻撃を回避していることが確認された。JMML発症後に成熟B細胞性白血病を来した1例では、IGH-MYC融合遺伝子が形成されていることを確認した。しかしながら、JMML発症後にB前駆細胞性急性リンパ性白血病を来した1例では、新たな遺伝子変異の獲得を検出することはできなかった。
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