West症候群における脳磁図高周波とてんかん原性領域の研究

2015 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26860798
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 岩谷 祥子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任助教 (60724903)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 高周波 / 脳磁図 / West症候群 / てんかん / 皮質形成異常

Outline of Annual Research Achievements

皮質形成異常や結節性硬化症を伴うWest症候群は難治性てんかんで、発作を早期にコントロールすることが発達予後に重要である。抗てんかん薬に抵抗性を示す症例では外科的治療の適応を検討する上で、てんかん原性領域の同定が必要である。頭蓋内脳波では80Hz以上の高周波がてんかん原性領域の同定に重要であると報告され、以前、われわれは非侵襲的な頭皮脳波においてスパスム発作時の高周波がてんかん原性領域と関連していることを報告した。脳磁図は術前に非侵襲的に計測することが可能で、脳波よりも空間分解能に優れている。①頭部MRIで皮質形成異常や皮質結節を認めたてんかん性スパスムの症例11例、②皮質形成異常や皮質結節などを認め、部分発作のみでてんかん性スパスムを認めない症例19例、③頭部MRIで明らかな皮質形成異常などの病変を認めないてんかん性スパスムの症例6例について、1kHz以上のサンプリング周波数で脳磁図の計測を行っている。脳磁図での発作間欠期の棘波に伴う高周波を視覚的に同定し、出現部位やパワー値の変化について時間周波数解析を用いて検討中である。その結果を頭部MRIとの重ね合わせを行い、発作間欠期棘波の出現前後における高周波の出現時間や最大パワーを示す部位について検討していく。また、上記3群における高周波の出現部位を頭部MRIやFDG-PETなどの他のモダリティにおけるてんかん原性領域と示唆される領域との比較検討を行っていく予定である。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

発作間欠期高周波は振幅が小さく、視覚的評価が難しく、脳磁図はセンサー数が多いために解析に時間を要するため、心電図などのアーチファクト除去や頭部MRIとの重ね合わせが可能で、高周波の検出にフィルター機能が使用しやすように、解析ソフトを変更したため条件の設定などに時間を要しているため。

Strategy for Future Research Activity

計測できている脳磁図データを用いて、高周波の時間周波数解析を行っていき、他のモダリティにおけるてんかん原性を示唆する領域との比較検討を行っていく。発作間欠期棘波を基準に高周波の解析するためには、基準の棘波を同定する際に、誤差が生じにくくデータの正確性を高める必要がある。

Causes of Carryover

成果発表が難しかったことと情報収集のための学術集会が近郊で開催されたため旅費が少なかったこと、解析用パソコンのディスプレイを以前から使用中のものを継続して使用したため

Expenditure Plan for Carryover Budget

解析ソフトを変更し解析しているが、脳磁図波形で高周波を同定するにあたり多センサーの波形を一度に評価するのが難しいため波形の同定がしやすい大きさのディスプレイの購入を検討する。研究結果をまとめて学会発表に向けて準備を進める。