2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞へのゲノム改変によるダウン症候群の病態モデルの確立とその解析
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26860799
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 克弥 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30724306)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダウン症候群 / iPS細胞 / 造血異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダウン症候群では多彩な合併症を呈するが、その中でも白血病の発症頻度が高い。新生児の10%以上で一過性骨髄異常増殖症(TAM)と呼ばれる造血異常を呈し、約2割の症例で重篤な経過をたどる。残りの8割の症例は一ヶ月以内に自然寛解するものの、さらに2年のあいだに30%の確率で急性巨核芽球性白血病(AMKL/M7)を発症する。本研究では、この白血病の多段階発症モデルとして注目を集める21トリソミー-TAM-AMKLの発症メカニズムを明らかにすることを目指し、その最初のステップとして、疾患特異的ヒトiPS細胞とゲノム編集技術を組み合わせることによってTAMの実験モデルの構築を行った。 今年はまず、健常児の臍帯血をもとにセンダイウイルスベクターをもちいることでコントロールとなるヒトiPS細胞の樹立を行った。つぎにTAMを発症したダウン症児について、交換輸血時に破棄される末梢血をもちいてiPS細胞の樹立を行った。この末梢血中にはGATA1変異を持った芽球と、変異をもたない正常血球の両者が混在することから、遺伝子背景を同一にするふたつのiPS細胞を得ることができた。これらについて核型解析・奇形腫形成などを行ってiPS細胞として十分な品質を保っていることを確認した。また一方で、GATA1ノックアウトを行うためのゲノム編集技術基盤の確立を行い、21ダイソミー-GATA1ノックアウト、21トリソミー-GATA1ノックアウトの2種類のヒトiPS細胞を作成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としているTAMの細胞モデルを作成するに当たり、必要としていたTAM症例からの検体を得ることができた。そして健常児・21トリソミー+GATA1変異あり/なしの3種類のiPS細胞を樹立することができた。さらにゲノム編集技術をもちいることによって、遺伝子ノックアウトを行うことができ、予定通りの進捗状況であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
目標としている6種類のヒトiPS細胞の残るひとつを樹立するために、染色体除去技術を用いることによって21ダイソミー-GATA1短縮型のモデルを作成したいと考えている。 染色体除去技術はマウスES細胞では成功されているが、ヒトでは報告がないため、セレクションマーカーをもちいてぜひ成功させたいと考えている。
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