2014 Fiscal Year Research-status Report
小児特発性ネフローゼ症候群におけるマイクロRNA発現の検討及び治療法の開発
Project/Area Number |
26860800
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松野下 夏樹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70622885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小児特発性ネフローゼ症候群 / 蛋白尿惹起因子 / podocyte障害 / マイクロRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
小児特発性ネフローゼ症候群(小児INS)は小児期における代表的な難治性腎疾患である。 小児INS 患者においては循環血漿中に存在する未知の蛋白尿惹起因子によってpodocyte 障害が発生し、蛋白尿漏出防止機構が破綻することで疾患を発症すると推測されているが、未だ病態の全容は解明されていない。近年、マイクロRNA(miRNA)と小児INS の関連については、一部のmiRNAがpodocyte 関連遺伝子を標的とするため、その過剰発現によりpodocyte 障害を起こすことが報告された。そこで、本研究では小児INS におけるpodocyte でのmiRNA の発現プロファイルを明らかとし、未だ明らかでないmiRNA 発現を介した小児INS の病態を解明することを目指す。さらにその結果をもとに、未だ存在しないmiRNA を用いた疾患バイオマーカー、miRNA を標的とした特異的治療法の開発を目的する。 本年度はpodocyte 障害の評価を目的に、小児INS 患者血清を添加して細胞障害を誘導した培養podocyteにおけるpodocyte 関連蛋白(WT1、ネフリン、ポドシン)の発現解析を行った。方法としては免疫蛍光染色により細胞形態および各種蛋白の発現動態と細胞内局在の変化を確認した。寛解時および再発時の巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)および微小変化型(MGA)の患者血清を添加した場合、ネフリン、ポドシン染色には大きな変化は認めず、健常者血清とほぼ同一であった。一方で、WT1の発現は再発時のFSGS患者血清を添加したpodocyteではその発現が低下している傾向にあった。現在、症例数を増やして確認を行うとともに、定量リアルタイムPCRとウェスタンブロットを用いてmRNAおよび蛋白レベルでの発現動態を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は計画していた研究のうち、podocyte 障害の評価を目的に、小児INS 患者血清を添加して細胞障害を誘導した培養podocyteにおけるpodocyte 関連因子(WT1、ネフリン、ポドシン)の発現解析に着手した。免疫蛍光染色により細胞形態および各種蛋白の発現動態と細胞内局在の変化を確認した。また、定量リアルタイムRT-PCR とウェスタンブロットを用いてメッセンジャーRNA(mRNA)と蛋白レベルでの発現動態も定量的に解析中である。ただし、小児INS の病態に関与しているmiRNA のスクリーニングを目的とした、miRNA PCR array による網羅的解析に着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
策定した研究計画に基づき研究を進める。まずは本年度に着手できなかった小児INS 患者の血清、尿および腎組織におけるmiRNA の発現プロファイルを明らかにする。具体的には小児INS の病態に関与しているmiRNA のスクリーニングを目的に、miRNA PCR array を用いて現在までに明らかとなっている全てのmiRNAの発現量を網羅的に定量化する。そして、小児INS患者 において有意に発現が増加・減少しているmiRNAを早期に選別する。 また、並行して臨床検体(血清、尿、腎組織)を当院のみならず、関連施設を中心に全国の施設に研究協力を依頼し精力的に収集する。
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