2014 Fiscal Year Research-status Report
高IgE症候群モデルマウスを用いた黄色ブドウ球菌易感染性メカニズムの解明
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26860808
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
和田 剛 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 特任助教 (80583418)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高IgE症候群 / 黄色ブドウ球菌 / STAT3 |
Outline of Annual Research Achievements |
高IgE症候群は黄色ブドウ球菌に対する易感染性などの症状を呈する、人の先天性免疫不全症である。近年、私たちはその責任遺伝子としてSTAT3を同定し、STAT3のドミナントネガティブ (dominant negative; DN) 変異がその主要な原因であることを発見した。しかし、黄色ブドウ球菌に対する易感染性の病態形成に、STAT3の分子異常がどの様なメカニズムで関与しているかは明らかではない。 そこで、当研究室で樹立したSTAT3のDN変異体を全身に発現する高IgE症候群モデルマウスに黄色ブドウ球菌を感染させ、黄色ブドウ球菌に対する易感染性の病態形成のメカニズムの解明を試みた。 具体的には、高IgE症候群モデルマウスの皮膚に黄色ブドウ球菌を接種し、接種部皮膚に形成される膿瘍の肉眼的大きさを計測、さらに皮膚を採取し、皮膚ホモジネート液を作製後、培地にまき、生えてくる黄色ブドウ球菌のコロニー数を計測した。また、フローサイトメーターを用いて、接種部位への浸潤細胞集団の解析を行い、各種染色による病理組織学的検索を行った。 その結果、高IgE症候群モデルマウスでは、野生型マウスに比べて、黄色ブドウ球菌感染病巣の増大化が見られ、接種7日後の接種部位での検出菌数の増加がみられた。さらに、接種部位での好中球遊走因子の産生低下と、それに伴う好中球浸潤数の減少が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高IgE症候群モデルマウスの皮膚に黄色ブドウ球菌を感染させたところ、高IgE症候群患者でみられるように黄色ブドウ球菌に対する易感染性の病態が認められた。野生型マウスと比較し、黄色ブドウ球菌接種部位での浸潤細胞と発現因子に違いが見られたことから、これらをもとに黄色ブドウ球菌に対する易感染性の病態形成に関わる原因細胞・因子の候補を絞ることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、任意のX細胞特異的Stat3-DN 発現マウスを用い、野生型マウス、X細胞特異的STAT3-DNマウス、STAT3-DNマウスの3者の比較を行い、どの細胞にSTAT3-DN変異体が発現する事で易感染性の病態が起きるのか、病態に関わる責任細胞の同定を試みる。また、シグナル欠損マウス、サイトカイン欠損マウス等とも交配することで、易感染性の病態に関わるシグナル・サイトカインについても詳しく解析する。
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Research Products
(1 results)