2015 Fiscal Year Research-status Report
抗原特異的T細胞に注目したスギ舌下免疫療法の作用機序の解明
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26860817
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
野村 孝泰 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50587334)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 舌下免疫療法 / スギ花粉症 / 抗原特異的T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は花粉飛散前後の患者血液(全36検体:治療群8例、コントロール群10例)から末梢血単核球を分離し、凍結保存した。平成27年度はこれらの細胞に対してマルチカラーフローサイトメトリーによる抗原特異的Th細胞解析を行った。スギ抗原で6時間の抗原刺激を行った後に、T細胞マーカーCD4、活性化マーカーCD154、5種類の細胞質内サイトカイン(IL-5、IL-4、IL-10、IFN-γ、TNF-α)を異なる蛍光で標識し、マルチカラーフローサイトメトリーで検出した。これらの解析により、サイトカイン(IL-5、IL-4、IL-10、IFN-γ、TNF-α)を産生するスギ特異的Th細胞数を決定した。 コントロール群ではスギ花粉飛散前後で、IL-4あるいはIL-5を産生するスギ特異的Th細胞が増加したのに対して、治療群はその増加を抑制した。一方で、IL-10、IFN-γ、TNF-α産生細胞数は、スギ花粉飛散前後で両群ともに変化は認めなかった。 血液中の抗原特異的Th細胞は免疫の中心的役割を果たしているが、その数が少ないがゆえに評価が技術的に困難で、免疫療法の作用機序への関与は議論があった。最近のマルチカラーフローサイトメトリーを含む技術革新により、その関与が徐々に明らかになっていた。我々は、スギ皮下免疫療法その関与を明らかにしたが(Nomura T. Ann Allergy Asthma Immunol 2013)、今回、舌下免疫療法でも同様に血液中の抗原特異的Th細胞の関与を認め、新しい知見として論文報告した(掲載決定済み)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予想以上に順調に解析が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫療法の作用機序は未だ不明な点が多く、本研究で得られた血清を用いて、新規のマーカーとして注目されるマイクロRNAの解析を行う。
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Causes of Carryover |
予定より対象症例が減ったため、消耗品にかかる費用が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規のマーカーとして注目されるマイクロRNAの解析を行い、抗原特異的T細胞の作用機序と合わせて、舌下免疫療法の作用機序の解明を進める。
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