2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26860820
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
吉田 秀樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10643546)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ETP-ALL / MEF2C / BCL2 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、平成26年度に以下のことを明らかにし発表した。 1.本学付属病院小児科で加療したTypical T-ALL患者(21人)とETP-ALL患者(10人)を比較したところ、後者は明らかに初期治療反応性が悪く(p=0.0015)、造血幹細胞移植が有意に施行されていた(p=0.0038)。また造血幹細胞移植を施行しない生存期間、および5年無病生存率においてETP-ALL患者はTypical T-ALL患者と比し、有意に悪いことを明らかにした(それぞれp=0.0052、 p=0.024)。2.Typical T-ALL(n=12)とETP-ALL(n=9)の遺伝子発現をq-PCRを用いて比較したところ、MEF2CおよびFLT3の2つの遺伝子発現がETP-ALLにおいて有意に高発現であった(それぞれp=0.039、 p=0.014)。3.2つのT-ALLの細胞株(LOUCY:MEF2C高発現、Jurkat:MEF2C低発現)を用いて、Bcl2阻害剤(ABT-737)をPSLと併用した場合、LOUCYの方がより細胞増殖が抑制された(CI: LOUCY/ Jurkat =0.55/ 1.12)。またLOUCYに2剤を併用した場合、アポトーシスが有意に増加した。4.MEF2Cの高発現がPSL抵抗性に関与していることを示すため、MEF2C安定発現細胞株(BaF3-MEF2C)を作成した。BaF3-MEF2CはPSL低感受性を示し、ABT-737とPSLを併用した場合、BaF3-mockと比し顕著に増殖を抑制した。5.Typical T-ALL(n=2)とETP-ALL(n=2)の臨床検体を使用しPSL感受性を比較したところ、ETP-ALLは有意に抵抗性を示した(viable cell: Typical T-ALL/ ETP-ALL = 30-40%/ 75-90%)。ABT-737とPSLを併用させるとETP-ALL患者のviable cellは減少傾向を示し、30%まで低下した症例も存在した。
以上の内容は、ETP-ALLに高発現している転写因子MEF2Cとステロイド抵抗性およびアポトーシス抵抗性との関係を明らかにし、臨床応用へと展開に向けた基礎的データとして意義深いと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は平成26年度内についてBCL2阻害剤が、MEF2C高発現のETP-ALLのPSL感受性を回復させることについて学会発表(後藤幸子、今村俊彦ら.第117回日本小児科学会学術集会.2014年.名古屋)、および論文投稿(Kawashima-Goto S, Imamura T, Yoshida H, et al. 論文投稿中)を行った。 現在、ABT-737投与とBCL2発現の変化について検討を進め、期待できるデータを得ており、おおむね順調に研究遂行できていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はETP-ALL細胞における、ABT-737の投与前後のBCL2の発現の変化を明らかにする。また、ETP-ALLについては、FLT3高発現も見られ、治療標的となる可能性がある。今後、ABT-737とFLT3阻害剤の併用が、MEF2C高発現のETP-ALLのPSL感受性にどのような影響を与えるか、in vitroでの解析を追加する予定である。
|