2014 Fiscal Year Research-status Report
シクロスポリンAとIVIGに対する免疫応答の相違分析による難治性川崎病の病態解明
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26860821
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
垣本 信幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90614412)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 川崎病 / シクロスポリンA / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガンマグロブリン静注療法(IVIG)に抵抗性の難治性川崎病に対して、当教室のSuzukiらはシクロスポリンA(CsA)が有効であるとの報告(Pediatr Infect Dis J.30(10):871-6,2011)を行い、CsA による良好な治療成績をおさめている。一方で、川崎病の病因、病態は未解明な点が多く、IVIG 抵抗性の川崎病に対してCsA がどのような免疫応答をもたらしているか不明である。本研究は、IVIG が無効な難治性川崎病罹患児の末梢血を用いて、CsA を使用した際の免疫担当細胞の細胞内シグナル伝達物質(STAT1,3,5, NFATなど)の活性化、および遺伝子発現量を測定し、IVIG 施行時とCsA 投与時の相違を比較解析することで、難治性川崎病の病態を明らかにすることを目的としている。 2014年4月から当院に川崎病で入院した患児から、入院時及び、ガンマグロブリン静注療法(IVIG)施行の前後、シクロスポリンA(CsA)内服療法の前後に末梢血検体を得た。これらの検体から、フローサイトメトリー(FACS)を用いて、好中球、リンパ球において、細胞内シグナル伝達物質であるpSTAT1, pSTAT3, pSTAT5の平均蛍光強度(MFI)を測定した。同時に末梢血検体からRNAを抽出し、realtime RT PCR法を用いて、IL2, IL4, IL6, IL10, p38, CD177, IFNG, NFATc1, NFATc2, STAT3, STAT5, SOCS3, CISHのRNAの半定量的測定を行った。この1年間で、当初の計画にほぼ沿った形で、検体数を獲得することができている。現時点では、統計解析を行うには至っていないが、2015年度も継続して症例数を増やし、最終的な統計解析をめざすことが妥当であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度1年間での採取検体は、当初の想定していた数をほぼ満たすことができた。現時点で、統計解析を行うには至っていないが、継続して検体採取、測定を行い、解析を行ってゆく段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度も、検体の採取を継続し、測定結果の統計処理、解析を行いつつ、今回の結果を踏まえて、学術誌への論文投稿の準備を行う。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた、サーマルサイクラー(PCR増幅装置)が、他の助成金での購入で賄われ、当研究室において現時点では十分な台数の確保ができた。このため、本助成金からの支出が不要となった。一方で、本研究が順調に進捗していることで、試薬の購入は、当初の予定以上に必要となり、これに対して、本助成金を当てることで、最終的に、上記の残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
PCR増幅、realtimePCRの施行、フローサイトメトリーの施行に検査試薬の追加購入が必要であり、これらの購入に本助成金を使用する予定である。
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