2015 Fiscal Year Research-status Report
シクロスポリンAとIVIGに対する免疫応答の相違分析による難治性川崎病の病態解明
Project/Area Number |
26860821
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
垣本 信幸 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90614412)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 川崎病 / シクロスポリンA / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院に川崎病で入院した患児から、入院時及び、ガンマグロブリン静注療法(IVIG)施行の前後、シクロスポリンA(CsA)内服療法の前後に末梢血検体を得た。これらの検体から、フローサイトメトリー(FACS)を用いて、好中球、リンパ球において、細胞内シグナル伝達物質であるpSTAT1, pSTAT3, pSTAT5の平均蛍光強度(MFI)を測定した。同時に末梢血検体からRNAを抽出し、realtime RT PCR法を用いて、IL2, IL4, IL6, IL10, p38, CD177, IFNG, NFATc1, NFATc2, STAT3, STAT5, SOCS3, CISHのRNAの半定量的測定を行った。 2014年4月から検体の採取を開始し、2015年度も継続して、2年間で、当初の計画にほぼ沿った形で、検体数を獲得することができた。 統計処理を行った結果、FACSに関しての検討では、中間での解析と同様にCsA群で、pSTAT3(CD3+, CD16b+)のMFIが共に有意に低下した。また、1st群で、IVIG投与後に、pSTAT3(CD3+, CD16b+)のMFIが低下し、pSTAT5(CD16b+)のMFIが上昇した。1st群と2nd群の比較では、初回IVIG後、1st群でNFATc1発現量が高値であった。 realtime RT PCR法を用いた検討では、CsA投与後にNFATc1, c2の遺伝子発現量が共に有意に上昇し、また、1st群で、IVIG投与後にSTAT3, 5A, 5Bの遺伝子発現量が低下し、NFATc1, NFATc2の発現量が上昇していた。 JAK-STAT経路、NFAT経路が、川崎病の急性期治療時の免疫応答に関与していることが示唆され、現在、学術誌への論文発表準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度1年間での採取検体は、当初の想定していた数をほぼ満たすことができた。統計学的解析を行ったところ、有意差のある測定結果が幾つか得られており、学術誌への論文投稿の準備をする段階である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、これまで得られたデータをまとめ、最終的な解析を行い、学術誌への論文投稿を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2014年度に購入した試薬を2015年度も継続して使用することができたため、当初の想定よりも2015年度の試薬購入費が少なく済んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に計画的な試薬購入、論文投稿などの費用として充填させる予定である。
|