2015 Fiscal Year Annual Research Report
単心室循環確立に伴う遺伝子発現変化:マイクロアレイ法による遺伝子プロファイル解析
Project/Area Number |
26860822
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
本田 崇 北里大学, 医学部, 助教 (50525532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Fontan循環 / マイクロアレイ / 遺伝子発現 / 免疫機能 / 血小板機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
<背景>Fontan術後患者では、免疫機能異常や血小板機能異常がこれまで指摘されてきたがその詳細は明らかではない。特に遺伝子レベルでの報告はほとんどなく、これらの異常が遺伝子レベルで制御されているか否かは不明である。本研究では、Fontan患者のリンパ球と血小板を含む全血球中の遺伝子発現を網羅的に解析する。 <方法>対象はFontan群6例として、Control群は心疾患を有さない健常児6例とした。血液2.5mlより全血球中に存在するmRNAを抽出した。それらをもとに逆転写で得られたDNAに対して、DNAマイクロアレイを施行した。NCBI BioSystemsのデータベースを用いてPathway解析を行い、免疫および血小板機能に関するFontan群での特徴を調べた。 <結果>遺伝子発現の差異の大きい上位40のPathwayに、5つの免疫機能に関わるPathway (IL-12シグナルの減弱、PD-1シグナルの減弱、ZAP-70シグナルの減弱、CD8陽性T細胞におけるTCRシグナルの減弱)と、1つの血小板機能に関わるPathway(IFN alfa IIb/beta3の増強)が含まれていた。 <考察>CD4陽性T細胞はIL-12の異常によりTh1への分化が阻害され、CD8陽性T細胞はZAP-70機能低下に伴いTCRシグナリングが阻害されており、これらが免疫異常のメカニズムであることが推測される。またPD-1の機能異常は何らかの自己免疫的異常に関与する可能性がある。一方で血小板機能は遺伝子レベルで増強していることが明らかになった。 <結語>Fontan患者において、CD4陽性細胞はTh1への分化が阻害され、CD8陽性T細胞はTCRシグナリングが阻害され、結果として細胞性免疫機能が低下している可能性が遺伝子発現レベルにおいて示唆された。一方で、血小板機能は遺伝子レベルで増強していた。
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