2014 Fiscal Year Research-status Report
脊髄性筋萎縮症患者由来細胞を用いたSMN発現制御機構の解明
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26860829
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
荒川 玲子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (40623111)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄性筋萎縮症 / SMNタンパク質 / イメージングフローサイトメトリー |
Outline of Annual Research Achievements |
治療法が確立していない脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する治療法開発にむけた基盤研究として、イメージングフローサイトメトリー(IFC)法を用いた新しいSMNタンパク質発現解析法を開発した(PCT/JP2015/060662)。survival motor neuron1(SMN1)遺伝子の欠失、変異により全身の筋力低下を示すSMAでは、SMN2遺伝子由来のSMNタンパク質が生命維持に重要な役割を果たしている。SMNタンパク質はユビキタスに存在しており、様々な患者由来細胞での定量が試みられている。 平成26年度は、SMA患者由来細胞におけるSMNタンパク質発現解析法の開発のため、SMN1遺伝子変異の判明しているSMA患者もしくは代諾者へのインフォームドコンセントにより文書による同意の上、SMA患者皮膚細胞から線維芽細胞の樹立および血液細胞の採取、EBウイルスを用いた不死化培養細胞株の樹立を行った。さらに、SMNタンパク質の新しい検出法としてIFC法によるSMNタンパク質発現解析法を開発した。IFCは、フローサイトメトリーに蛍光顕微鏡システムを導入し、タンパク質の発現強度だけでなく、細胞内局在を定量化できるシステムである。IFC法を用いて、SMA患者由来線維芽細胞にバルプロ酸ナトリウム(0, 0.1mM, 1mM, 10mM)を添加した際のSMNタンパク質発現の変化について検討を行った。その結果、IFC法を用いたSMNタンパク質発現解析により、VPA濃度依存的にSMNタンパク質発現の上昇を認めた。さらに本手法により、SMNタンパク質の細胞内局在を定量化することに成功し、有意な核内SMNタンパク質の上昇を認めた。 現在、本手法を発展させ、線維芽細胞よりも侵襲が少なく採取できる血液細胞におけるSMNタンパク発現解析法の開発を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究試料であるSMA患者由来細胞については、患者もしくは代諾者へのインフォームドコンセントにより文書による同意の上、採取、培養を進めている。さらに、SMNタンパク質を測定する新しい技術の開発が進行しており(特許出願中)、当初の目的であるSMN患者の機能改善を目指した治療法開発の基盤研究として、順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
イメージングフローサイトメトリー法を用いることにより、SMA患者由来線維芽細胞におけるSMNタンパク質発現について、細胞内局在を含めた発現解析が可能となった。本研究では、侵襲ができるだけ少なく採取可能な組織の細胞を用いて、SMNタンパク質発現制御機構を検討し、SMN患者の機能改善を目指した治療法開発の基礎研究を目的としている。SMA患者由来の血液細胞における検討を進めることで、より採取に侵襲の少ない検体である血液細胞を用いたSMNタンパク質の発現解析の技術が発展し、研究の推進力となる。
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Causes of Carryover |
現在、SMA患者由来細胞を採取、培養中である。患者の体調等の状況により、当該年度に採取、培養できなかった患者細胞については、次年度に施行を予定しており、その分の費用に当てる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、対象患者細胞を採取、培養を行い、全て使用をする予定としている。
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Research Products
(3 results)