2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜透過機能をもたせた抗ウイルス低分子タンパク質投与によるウイルス抑制効果
Project/Area Number |
26860835
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
關 文緒 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (20443111)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞膜透過ペプチド / 麻疹ウイルス / Pタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究では、ウイルスRNAポリメラーゼ(RdRp)阻害機能を持つタンパク質に細胞膜透過機能を持たせたが、十分な抑制効果を得られなかった。今年度の研究では、細胞膜透過機能をもつペプチド配列、リンカー配列を変えて細胞への侵入効果を測定した。また、細胞内に侵入したタンパク質の測定方法を細胞固定後の蛍光染色からタンパク分子を蛍光標識する方法へ変更した。昨年度の結果では細胞内侵入タンパク質がドット状に確認されたが、この問題点は、タンパク質標識と生細胞を用いた測定方法へ変更することで解消された。本測定方法でペプチド配列とリンカー配列を決定した後、このタンパク質を用いてウイルス増殖に与える影響を培養細胞で観察した。その結果、ウイルス抑制効果は認められたが、細胞内発現系より小さい効果であった。以上の結果から、付加したペプチド配列及びリンカー配列が本来のタンパク質機能を阻害していることが考えられたため、これらの配列を付加した細胞内発現用プラスミドを作製し、細胞内発現系におけるウイルス増殖抑制効果を測定した。ペプチド配列及びリンカー配列の付加により元のタンパク質より抑制効果が低下することが明らかになった。ウイルスRdRpポリメラーゼ阻害機能を持つタンパク質のアミノ末端およびカルボキシル末端を変化させ、本年度決定したペプチド配列およびリンカー配列の付加部位の変更を検討したが、十分な効果は得られなかった。このため、細胞侵入効果に加えタンパク質の阻害機能に影響しない配列の検討がさらに必要なことが明らかになった。
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