2014 Fiscal Year Research-status Report
次世代技術を用いた性分化疾患の網羅的遺伝子解析と機能解明
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26860837
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
五十嵐 麻希 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 研究員 (10623035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 性分化疾患(DSD) / 次世代シークエンス(NGS) / アレイCGH |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究の目的]性分化疾患(DSD)は、出生時の外性器異常、思春期発来異常および不妊など、多彩な臨床症状を招く病態である。本研究の目的は、DSD患者を対象とした網羅的遺伝子解析により、既知及び新規DSD原因遺伝子の発見と機能の解明を行うことである。
「研究実績]合併症のない尿道下裂症患者66例に対して、25遺伝子を標的とした網羅的遺伝子解析を行った結果、8例に既知遺伝子変異を同定した。このうち1例で既知遺伝子変異が2つ同定された。この結果は、尿道下裂症において初めてoligogenecityの可能性を示すものであった。また希少な遺伝子変異として、MAMLD1遺伝子のスプライスサイト変異を同定した。研究代表者はこの変異が、蛋白合成を障害する可能性を見出した。これらの成果は、論文として発表した。DSD症例のうち、合併症のある症例に対しては、アレイCGH法によりコピー数変化を解析している。特記べき成果として、SOX3遺伝子とその近接領域の重複は46,XX DSDの原因となるが、SOX3遺伝子の重複のみでは性分化異常を生じない事を明らかにした。この成果は論文として発表した。非常に稀な疾患である46,XX精巣性DSDの10例に対しては、全遺伝子のコーディング領域を標的としたエクソーム解析を行っている。現在までに実験は終了し、現在解析中である。
「研究の重要性]DSD患者は、出生後の外性器異常により発見されることが多く、社会的性の決定や治療方針を決める上で、遺伝子解析による早期診断が期待されている。また、思春期発来異常および不妊により発見されることも多く、妊孕性を判断する上でも遺伝子解析による確定診断が必須である。本研究で使用している網羅的遺伝子解析法は、既知遺伝子変異を従来法よりも早期に同定可能であるとともに、新規DSD原因遺伝子の発見も期待できることから非常に重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで約100例のDSD患者に対し、網羅的遺伝子解析を行った。この内、約10%の患者に対して遺伝子変異を同定した。すべての結果は主治医に報告し、DSD患者の診断に貢献している。また研究成果は、精力的に学会や論文で報告をしている。よって現在までの達成度は、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もDSD患者の網羅的遺伝子解析を行い、既知原因遺伝子変異を同定していくと共に、DSD候補遺伝子変異についても解析を行っていく。特に、今まで原因がよく分かっていない46,XX精巣性DSDについては、全遺伝子を標的とした解析により、新規性分化機構の解明に貢献できる研究を目指す。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Novel Splice Site Mutation in MAMLD1 in a Patient with Hypospadias2015
Author(s)
Igarashi M, Wada Y, Kojima Y, Miyado M, Nakamura M, Muroya K, Mizuno K, Hayashi Y, Nonomura K, Kohri K, Ogata T, Fukami M.
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Journal Title
Sexual Development
Volume: Mar 31
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Molecular basis of non-syndromic hypospadias: systematic mutation screening and genome-wide copy-number analysis of 62 patients.2015
Author(s)
Kon M, Suzuki E, Dung VC, Hasegawa Y, Mitsui T, Muroya K, Ueoka K, Igarashi N, Nagasaki K, Oto Y, Hamajima T, Yoshino K, Igarashi M, Kato-Fukui Y, Nakabayashi K, Hayashi K, Hata K, Matsubara Y, Moriya K, Ogata T, Nonomura K, Fukami M.
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Journal Title
Human Reproduction
Volume: 30
Pages: 499-506
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Genome-wide copy number analysis and systematic mutation screening in 58 patients with hypogonadotropic hypogonadism.2014
Author(s)
Izumi Y, Suzuki E, Kanzaki S, Yatsuga S, Kinjo S, Igarashi M, Maruyama T, Sano S, Horikawa R, Sato N, Nakabayashi K, Hata K, Umezawa A, Ogata T, Yoshimura Y, Fukami M.
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Journal Title
Fertility and Sterility
Volume: 14
Pages: 563-569
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症58例の網羅的遺伝子解析2015
Author(s)
鈴木江莉奈, 泉陽子, 神崎晋, 八ツ賀秀一, 金城さおり, 五十嵐麻希, 中林一彦, 梅沢明弘, 秦健一郎, 緒方勤, 深見真紀
Organizer
第19回日本生殖内分泌学会学術集会
Place of Presentation
大阪
Year and Date
2015-01-10 – 2015-01-10
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[Presentation] 非症候性尿道下裂発症における単一遺伝子変異の寄与の解明2014
Author(s)
今雅史, 室谷浩二, 長谷川行洋, 長崎啓祐, Dung Vu Chi, 上岡克彦, 大戸佑二, 五十嵐登, 三井貴彦, 鈴木江莉奈, 五十嵐麻希, 福井由宇子, 守屋仁彦, 野々村克也, 緒方勤, 深見真紀
Organizer
第48回日本小児内分泌学会学術集会
Place of Presentation
静岡
Year and Date
2014-09-25 – 2014-09-27
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[Presentation] Mutation analysis of KDM3A (lysine-specific demethylase 3A) in patients with hypospadias.2014
Author(s)
Kon M, Igarashi M, Izumi Y, Kato-Fukui Y, Mizuno K, Hayashi Y, Kohri K, Kojima Y, Nonomura K, Ogata T, Fukami M.
Organizer
53rd Annual ESPE Meeting
Place of Presentation
Dublin
Year and Date
2014-09-18 – 2014-09-20
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[Presentation] SRY陽性46,XX DSD(disorders of sex development)4症例の遺伝学的解析2014
Author(s)
中島信一, 大石彰, 高田史男, 永田絵子, 加藤芙弥子, 山口理惠, 五十嵐麻希, 深見真紀, 中西俊樹, 緒方勤
Organizer
第87回日本内分泌学会学術総会
Place of Presentation
福岡
Year and Date
2014-04-24 – 2014-04-26
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