2015 Fiscal Year Research-status Report
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26860844
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 俊彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (60711083)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医療 / Muse細胞 / 新生児低酸素性虚血性脳症 |
Outline of Annual Research Achievements |
Muse細胞または生食を投与したHIEモデルラットに、1ヶ月(亜急性期)と5か月(慢性期)の時点で各種行動実験を施行し、Muse細胞移植の有効性についての詳細な検討を行った。 行動学的評価のうちrota rod試験では、投与後1ヶ月の評価でMuse投与群の持久時間がvehicle投与群より有意に長く(185 vs.160秒)、運動障害の改善を認めた。また、その効果は投与後5ヶ月でも持続していた(127 vs. 107秒)。学習障害は、能動的回避反応(shuttle avoidance test)、新規物体認識試験で評価し、同様に5ヶ月まで有意な治療効果を認めた。さらにopen field試験によりvehicle投与群で多動性を認めていた行動異常がMuse投与群で有意に改善していることを確認した。経過中Muse細胞投与による体重増加率減少や死亡率増加などの弊害は見られなかった。 Muse細胞の生着評価として、脳切片による免疫組織学的評価を行った。その結果、受傷後10日目に作成した脳切片ではMuse細胞の脳への移行を確認できたが、受傷後7ヶ月に作成した脳切片では投与細胞の生着は確認できなかった。そのため現在、Alu Sequenceを用いてのMuse細胞の生着評価を行い、In vivo imagingを用いた投与後動態確認やnon-Muse細胞との効果比較を行っている。 今後Muse細胞の治療メカニズムの解明として、脳切片を用いた生化学的・免疫組織学的評価や、電気生理学的は皮質脊髄路の側通性の確認、MRIやSPECT/PETによる画像評価など行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
詳細な行動学的評価を行うことで、Muse細胞移植による治療効果を確認することができた。今後Muse細胞の脳内での生着・分布についてや治療メカニズムについての解明を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
治療メカニズムの解明として、Muse細胞の生着や分化を生化学的・免疫組織学的に評価し、皮質脊髄路の側通性を電気生理学的に確認する予定である。さらに、MRIによる組織障害やSPECT/PETによる脳血流や脳酸素代謝率(CMRO2)等の可視化、炎症細胞であるミクログリア/マクロファージのイメージングなども行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
Muse細胞投与後の行動学的評価や、Muse細胞の脳内生着の確認を優先したことで、生化学的・免疫組織学的評価や各種画像検査を行うことができず、必要な物品の購入ができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に行うことができなかった生化学的・免疫組織学的評価や各種画像検査を行うために必要な物品の購入に使用する。
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