2015 Fiscal Year Research-status Report
新生児低酸素性虚血性脳症に対する自家間葉系幹細胞治療の開発
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26860845
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
香田 翼 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40622882)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 在胎週数 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、まずヒト臍帯血および胎児付属物由来間葉系幹細胞の分離・培養に着手した。「ヒト臍帯血および胎児付属物由来間葉系幹細胞を用いた新生児慢性肺疾患治療に向けた基礎的検討」について、神戸大学医学倫理委員会の承認(平成25年1月15日付)を得て、ヒト臍帯血と胎児付属物から間葉系幹細胞を分離・培養を開始した。当施設で娩出された児の臍帯血と臍帯より得た細胞を回収し、培養することで、間葉系幹細胞と考えられる紡錐状の細胞を得ることに成功した。次に、得られた細胞が間葉系幹細胞か否かの確認を行うためにFACS解析を施行した。FACS解析を行うことで、CD105・90・73が陽性であり、CD14・19・34が陰性である、という定義(Le Blanc K, Nat Rev Immunol. 2012;12(5):383-96.)を満たすことが判明し、間葉系幹細胞と確認した。分離培養された細胞はそれぞれの分化培養キットを使用し、Adipocyte、Osteoblast、Chondrocyteに分化することを確認し、間葉系幹細胞の分離・培養に成功した。 平成27年度は、多様な週数の新生児から臍帯由来間葉系幹細胞を分離し、RNA発現の網羅的解析を行った。具体的には、分離培養した間葉系幹細胞より全RNAを抽出した。小児科研究室にすでに設置されているDNAマイクロアレイシステム(アジレント社)を用いて、網羅的遺伝子発現解析を行った。そして、高発現を認めたWNT関連遺伝子群について、リアルタイムPCR法を用いて検証し、再現性を確認した。くわえて、実際にWNT関連遺伝子群の機能解析も行い、細胞増殖との関連性を見出した。 現在は、当初から計画していた新生児低酸素性虚血性脳症モデルの作成も開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたように臍帯血および臍帯組織から間葉系幹細胞の分離ができ、くわえて採取した在胎週数による特徴の違いについて基礎的検討も進めることができている。一方、疾患モデル動物の作成に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
間葉系幹細胞の分離培養および基礎的検討が順調に進んでおり、平成28年度については疾患モデル動物での検証を予定している。すでに、動物実験計画書を作成しているが、当施設の動物実験施設の承認ののち、新生児低酸素性虚血性脳症モデルを作成し、我々の分離培養した間葉系幹細胞を移植する予定である。治療効果の判定のために炎症マーカーの解析や脳組織のTUNEL染色などを行う予定にしている。
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Causes of Carryover |
旅費や研究試薬等の経費節約により予算に猶予ができたため、次年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究試薬等の経費や、学会発表準備等の予算として使用予定である。
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Research Products
(3 results)