2014 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線スペクトロスコピーを用いた早産児の脳活動と発達特性の相関分析
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26860848
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥尾 倫子 九州大学, 大学病院, 研究員 (00725864)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | NIRS / 早産児 / 機能的結合 / 発達予後 |
Outline of Annual Research Achievements |
周産期医療の進歩に伴い、我が国では1500g未満で生まれた児の9割以上が生存可能になった。しかしながら、救命された多くの児が学習困難あるいは行動面や情緒面の不安定さを持ち、社会生活に困難を示す傾向が明らかになった。これは、早産児の脳が脆弱であり様々な環境に影響を受けやすいことを示しているが、実際にはそれを示唆する客観的なデータはなく、早産児の脳成熟の過程そのものがまだ詳しく解明されていない。
本研究は、ベッドサイドで鎮静剤を使用することなく安全に試行できる近赤外線スぺクトロスコピー(NIRS)を用いて、早産児の生理的条件下での脳活動、とくに領域間の機能的結合性を定量的・経時的に計測することで早産児の脳成熟過程の特徴を明らかにすることを目的とする。さらに、MRIデータと1歳半・3歳時の発達検査の成績を加えることにより、脳障害群や発達予後不良群に特徴的なパターンを新たに定義することも目的とする。
26年度、27年度はデータ収集を計画しており、早産児50例、対照群として正期産児20名を予定していた。26年度までに、早産児47名、正期産児8名のNIRS測定を終了し、早産児43名のMRIデータを取得することができた。現時点で得られているNIRSデータとMRIデータを使用して、脳障害児のパターンについて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NIRSデータは、目標数に対し計画通りに収集されている。MRIデータについては、すべての早産児のMRI撮影を行うことはできなかった。これは、本研究では退院前MRI検査(おおむね受胎38-40週に相当する)のデータを使用することにしているが、実際にはその時期にMRI撮影を行う医学的な理由がないケースが存在したためである。しかしながら早産児43名のMRIデータが得られており、研究に大きな支障はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度も引き続き対象児のリクルートを行い、NIRS測定、MRI撮影を行う。リクルートされた児の成長にあわせ、1歳6か月時・3歳児の発達検査も順次行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも消耗品の購入が少なかったため物品非に余りが生じた。データ処理、解析のため人件費を計上していたが使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、計画通り物品費の購入をする予定がある。人件費について、操作するデータ量が増えており、次年度は使用予定である。
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