2014 Fiscal Year Research-status Report
早産起因微生物、ウレアプラズマの宿主細胞感染メカニズムの解明
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26860859
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Maternal and Child Health |
Principal Investigator |
西海 史子 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), 免疫部門, 流動研究員 (60599596)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウレアプラズマ / 絨毛膜羊膜炎 / エンドサイトーシス / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国では年間 6 万人余りが早産(妊娠 22 週から 37 週未満)で出生し、早産率は約 6% である。早産児は呼吸器障害、神経障害などの合併症を伴うことがあるが、その原因の約半数に細菌感染や、病理的な絨毛膜羊膜炎(CAM)が認められる。感染性早産は臨床的に抗菌薬の効果は低くその制御は今尚困難である。当センター流早産胎盤における Ureaplasma spp.の分離頻度は42%であり、CAM の起因微生物として最も重要な細菌の一つである(Namba et al., Ped Res, 2010)。 これまでの検討で宿主細胞内に取り込まれた Ureaplasma parvum (U. parvum) はクラスリン依存性のエンドサイトーシスで取り込まれ、初期エンドソーム (EEA1) を通って後期エンドソーム (Rab7, LAMP1) に局在しているのが観察された。今年度購入したNIS-Elements ソフトウェア(Nikon) を使って U. parvum 感染細胞を観察した所、従来の蛍光顕微鏡で観察していた時よりも詳細に U. parvum と細胞内局在関連因子の関係について観察することが可能になった。今回の研究で宿主細胞内に取り込まれた U. parvum とオートファジーのマーカーである LC3 との関係について観察したところ、U. parvum と LC3の一部が共局在しているのが観察された。次にU. parvum 感染細胞と非感染細胞に於いてWB解析を行ったところ、オートファジー誘導の際に発現上昇が確認されるLC3-IIのタンパク量の増加がU. parvum感染細胞で検出された。これらの結果から、細胞内に侵入したU. parvumはオートファゴソームによって捕捉されるが、一部はオートファジー経路から逃れて核周囲で増殖しているのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
早産胎盤由来の U. parvum 臨床分離株は感染後、宿主細胞内で核周囲に集積することが示され、クラスリンの機能阻害実験やsiRNAの実験結果から U. parvum は、宿主細胞にクラスリン依存性のエンドサイトーシスで取り込まれ、初期エンドソーム (EEA1) を通って後期エンドソーム (Rab7, LAMP1) に局在している事を明らかにした。今年度、新たに導入したデコンボリューションソフトを用いることで、蛍光ラベルした U. parvum の退色を気にすることなく共焦点レーザー顕微鏡レベルの観察が可能になった。 宿主細胞内に取り込まれた U. parvum とオートファジーの関係について解析を行う為にオートファジー関連因子の KO または WT MEF 細胞に U. parvum を感染させて観察を行った。その結果、宿主細胞内に侵入した U. parvum の一部とオートファジーのマーカーである LC3 が共局在しているのが観察されたが、種々の KO MEF 細胞では U. parvum を感染させてもオートファジーは誘導されなかった。さらに U. parvum 感染細胞と非感染細胞を用いて LC3-II のタンパク質発現量について比較検討を行ったところ WT MEF 細胞では LC3-II タンパク質の発現量が増加していたが、KO MEF 細胞では LC3-II タンパク質発現上昇は観察されなかった。これらの結果から、宿主細胞内に取り込まれた U. parvum の一部はオートファジーによって分解されている可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
エンドサイトーシスによって宿主細胞内に取り込まれた U. parvum は、初期エンドソーム、後期エンドソームを経て一部はオートファジーによって分解されていた。細菌などが宿主細胞に感染すると、宿主細胞内の細胞骨格タンパク質の再構築が引き起こされる。また、多くの細菌は細胞骨格に沿って細胞膜から小胞体へと移動し小胞体ストレスを引き起こし、小胞体ストレス関連のタンパク質発現上昇が起こる事が知られている。U. parvum でも宿主細胞に侵入後、細胞骨格タンパク質に沿って移動するのか、また小胞体に U. parvam が局在した場合、他の細菌が感染した時と同様に宿主細胞のタンパク質合成に影響を与え、小胞体ストレスを引き起こしているのかを、感染細胞、非感染細胞を用いてウェスタンブロッティングや miRNA を用いて明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
次年度に miRNA 解析を行う予定にしており、使用額を多く確保しておきたいと考えた為、次年度繰越金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の研究費使用計画は細胞内に取り込まれたウレアプラズマと宿主細胞の免疫応答システムの関係について明らかにするために必要な消耗品 (miRNA 解析含む) 等購入費用として57万円。 マイコプラズマ学会および細菌学会に参加発表する為の参加費及び旅費として10万円。人件費・謝金として10万円、その他諸経費として3万円。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Complete Genome Sequence of Ureaplasma parvum Serovar 3 Strain SV3F4, Isolated in Japan.2014
Author(s)
Wu HN, Nakura Y, Motooka D, Nakamura S, Nishiumi F, Ishino S, Kawai Y, Tanaka T, Takeuchi M, Nakayama M, Fujita T, Yanagihara I
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Journal Title
Genome Announc.
Volume: 2(3)
Pages: e00256-14
DOI
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