2014 Fiscal Year Research-status Report
C型レクチンにより誘導されるIL-17A/Fを介した皮膚真菌症防御機構の解明
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26860867
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩澤 真理 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70375723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 皮膚科学 / 真菌症 / 皮膚カンジダ症 / IL-17 / Candida albicans / C型レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚におけるC. albicans感染防御機構を解明するため、マウスの背部皮膚にC. albicans菌液を浸したガーゼを密封貼付し、皮膚カンジダ症モデルを作成した。WTでは感染7日後までにC. albicansが排除された。Dectin-1/-2 KOマウス、MyD88 KOマウス、TLR2 KOマウス、FcRg KOマウス、Card9 KOマウス、Rag2 KOマウスにおいてもWTと同等に菌を排除した。一方、IL-17A/F KOマウスでは、臨床的・組織学的に著明な炎症反応や好中球浸潤が起きているにもかかわらず、菌を排除できず感染が持続した。mRNA発現をみると、IL-17A/F KOマウスの皮膚ではWTと比較しS100やディフェンシンなどの抗菌ペプチド発現が低く、組織の免疫染色にてもS100やMPO発現が低下していた。EGFP-IL-17A reporterマウスを用い、感染2日後のIL-17A産生細胞を解析したところ、感染群の皮膚でIL-17A産生細胞が増加し、産生細胞は主にγδT細胞と、17-secreting innate lymphoid cells(ILC3)であることが示された。IL-17F産生細胞についてもIL-17F intracellular stainingを行いFACS解析して、同様の結果であった。以上から、皮膚にC. albicansが感染するとDectin-1/-2、TLR2等の既知のレセプター以外の機序でC. albicansが認識され、γδT細胞やILC3からIL-17AおよびIL-17Fが産生されると、浸潤した好中球からMPO、S100、ディフェンシン等を放出することができ、C. albicansを排除する機能が発揮されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C型レクチンやIL-17A/F のKOマウスを用いたC. albicans皮膚感染モデルを作成し、C型レクチンにより誘導されるIL-17を介した皮膚真菌症防御の分子機序を解明することを目的として研究を行った。 1)C型レクチンやIL-17A/F のKOマウスを用いたC. albicans皮膚感染モデルを作成した。 2)C型レクチンレセプター(Dectin-1/-2、TLR2)や下流のシグナル分子(FcRg、Card9)のKOマウスを用いた実験から、皮膚においてはこれらレセプターを介さずγδT細胞やILC3が抗原を直接認識している可能性が示唆された。 3)IL-17A/Fの産生細胞を明らかにすることができた。 4)IL-17A/Fにより誘導される好中球のMPOやS100産生により菌の排除を行うことが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
ILC3が感染防御に重要な働きをしていることの確認のため、IL2Rg-Rag2 KOマウスを用いた感染実験を行う。 好中球により菌の排除が行われることを確認するため、WTマウスに抗Gr-1抗体を投与した感染実験を行う。 in vitroで、C. albicans懸濁液にWTおよびIL-17A/F KOマウスの好中球を加え、殺菌能にの差や、MPOやS100などの産生量の差を確認する。 C. albicansを注射して真皮内に感染させた場合には、皮膚表面からの感染とは異なりC型レクチンレセプターを介した感染防御機構が働く可能性があると想像される。皮内感染モデルを作成し実験を行う。 結果をまとめて学会発表および論文発表する。
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