2014 Fiscal Year Research-status Report
メルケル細胞癌の生存、増殖、分化に対する有棘細胞癌の影響およびその修飾因子の解明
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26860884
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
永瀬 浩太郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (30549077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メルケル細胞癌 / 有棘細胞癌 / 混合培養 / 癌細胞間相互作用 / メルケル細胞ポリオーマウイルス / 気相-液相界面培養系 |
Outline of Annual Research Achievements |
メルケル細胞癌の細胞株のうち、メルケル細胞ポリオーマウイルス陽性であるMKL-1とウイルス陰性であるMCC13, UISOの培養を行った。それぞれを気相-液相界面培養系(air-liquid interface culture system)を用いてコラーゲンゲル中で培養し、ゲル内で2週間以上生存維持させることが出来る事が確認できた。またそのゲル上に有棘細胞癌細胞株DJM-1を播種して混合培養を行い、有棘細胞癌細胞との相互作用の評価をすすめることに成功した。有棘細胞癌との混合培養下において、ウイルス陽性のメルケル細胞癌は形態学的に変性/壊死を多く認めるようになり、その増殖能も有意に低下した。この変化はウイルス陰性細胞では確認されなかった。 今回の研究ではメルケル細胞癌単独の培養をゲル内で行う事で、今回の実験系における至適な培養条件を決定することができた。そのうえで有棘細胞癌との混合培養によるメルケル細胞癌細胞の形態および増殖能がウイルス陽性細胞と陰性細胞の間で差異が認める事が確認できたことは非常に意義のあるものである。 これまでの研究で得られた結果は、実臨床でみられるメルケル細胞癌と有棘細胞癌を中心とした他の上皮系腫瘍との併存例がほぼすべてメルケル細胞ポリオーマウイルス陰性例であるというわれわれの検討に矛盾しないものであった。すなわち、有棘細胞癌細胞はメルケル細胞癌細胞のうちウイルス陽性例のみに増殖抑制をきたすことから、有棘細胞癌とウイルス陽性のメルケル細胞癌がきわめて稀なのだと推測される。さらにアポトーシスや遊走能、浸潤能などの解析を進めることで謎多きメルケル細胞癌の細胞動態についてのさらなる解明が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腫瘍間の相互作用を観察/解析するために、気相-液相界面培養系(air-liquid interface culture system)を用いてコラーゲンゲル内に複数種のメルケル細胞癌細胞を培養する必要があった。そのためそれぞれの細胞種におけるゲル中の細胞密度などの指摘条件設定に時間を要してしまい、若干研究の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度になって、ポリオーマウイルス陰性のメルケル細胞癌細胞株として使用していたMCC13とUISOがともにメルケル細胞癌細胞株として適切ではないとの論文が報告された。そのためウイルス陰性細胞株として今後の研究には他細胞種を使用すべきと判断し、入手をすすめている。その新規細胞株を用いてメルケル細胞癌および有棘細胞癌の三次元強培養条件下の混合培養をすすめ、組織化学、免疫組織化学、collagen gel invasion assay、FACS、PCR、Western blotを用いて解析を行う。また混合培養系でのcDNA microarrayによる網羅的遺伝子解析と候補遺伝子の蛋白やその阻害因子の投与実験により、腫瘍細胞の細胞動態の仲介因子を同定する。
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Research Products
(1 results)