2014 Fiscal Year Research-status Report
AD患者皮膚における皮膚バリアタンパク・シスタチンAの発現解析
Project/Area Number |
26860887
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
菅 裕司 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50552064)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / イミキモド / シスタチンA / 皮膚バリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, アトピー性皮膚炎 (以下AD)患者皮膚のシスタチンAの発現を解析し, ADにおける単純ヘルペスウイルス1型 (HSV-1)の易感染過程を解明する. ADの原因の一つは抗菌ぺプチド産生低下によるバリア機能異常である. 我々は, イミキモドにより誘導されたシスタチンAがHSV-1の増殖を抑制することを見出した. 皮膚バリアタンパク・シスタチンAのHSV-1感染制御機構とシスタチンAのAD皮膚における詳細な役割は未だ不明であるが, それらの基礎的な問題を解決しAD皮膚における皮膚バリア因子・シスタチンAの臨床応用への研究基盤を確立する. ヒト皮膚のモデル細胞として, 不死化ヒトケラチノサイトHaCaTを用いて, イミキモド処理によるシスタチンAの発現とウイルス増殖抑制効果を, 培養細胞FLにおける効果と比較した.我々は, イミキモドが培養細胞FLのシスタチンAを介してHSV-1感染を強力に抑制することを見出した. HSV-1を感染させたヒトケラチノサイト細胞株 (HaCaT) におけるウイルスDNA, タンパク合成量, 産生粒子量をそれぞれシスタチンAの有無別で測定し, そのHSV-1増殖抑制効果を調べる. 同時にFLにおける結果と比較し, ヒト皮膚培養細胞中のシスタチンAのメカニズムを調べた結果, HaCat細胞でも同様の結果であることを明らかにした. この結果はヒト羊膜細胞FLで得られた結果がヒト皮膚でも同様の効果を来す可能性を示唆する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
得られた知見を元に, 実際にAD患者皮膚におけるシスタチンA, ディフェンシンを含めた角層間タンパクの発現が, シスタチンAの増加に伴い増強するのか調べている.生検組織から免疫染色法によりその増減, 分布を観察し始めている. ただしカポジ水痘様発疹症の患者皮膚が現在まで得られていないためAD皮膚におけるHSV-1の易感染性についての実験はまだ行われていない.この点が予定外であった点である. 機会があれば生検し検体を得る.
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Strategy for Future Research Activity |
AD患者から, 病変部と非病変部の皮膚を生検し, 皮膚のシスタチンAの発現タンパクをウエスタンブロット法により検討する. その差異がどのようなメカニズムで起こるのかをHSV-1に関わる遺伝子, 発現タンパクを解析し調べる. 同様にADでの皮膚患部で減少している可能性がある抗菌ペプチドのディフェンシンと周辺帯蛋白質をコントロールとして解析する.
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