2015 Fiscal Year Research-status Report
乾癬の病態における制御性T細胞とIL-17産生細胞の役割
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26860889
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
西田 絵美 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80597534)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / Th17細胞 / Foxp3 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
尋常性乾癬の病態については、近年さまざまな分子メカニズムが報告されたことや、生物製剤の登場により、非常にたくさんの知見が得られるようになった。しかし、局所皮膚における細胞の局在やそれらの細胞間の作用機序についてはまだ解明されていないことも多い。そこで本研究では、乾癬患者の病変部皮膚における、制御性T細胞とTh17細胞の分布、また制御性T細胞の中に、IL-17産生細胞が存在することが報告され(Bovenschen J Invest Dermatol, 2011)、実際にこれらの細胞の存在が、患者の皮膚症状や末梢血でのIL-17の割合とどのように関わるかを調べ、病態の解明を目的に研究を行うこととした。 方法としては、当院の外来もしくは入院中の尋常性乾癬患者に対し、研究目的を説明の上、同意を得られた患者からまずは採血を行いPBMCを抽出し、PMA,Ionomycineにて刺激後培養し、TregについてはCD4+CD25+Foxp3+Tcellをマーカーとして染色、IL-17産生細胞はCD3+CD4+IL-17A+をマーカーとして染色を行った。また次に同意を得られた患者から乾癬の病変部より皮膚生検を行い、凍結標本を作製後、切片をCD4、Foxp3、IL-17で蛍光染色をし、顕微鏡にて局所皮膚に存在する、制御性T細胞、IL-17産生細胞の数を調べた。末梢血と皮膚局所における制御性T細胞とIL-17産生細胞との関連性を示すことはできなかったが、末梢血においてはTregとIL-17産生細胞は正の相関をとることがわかった(r=0.911)。また乾癬の重症度スコアを示すPASIスコアと乾癬皮膚に存在するTregとIL-17産生細胞の割合は負の相関を示すことが分かった(r=0.981,r=0.966)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
乾癬の病変皮膚におけるγδT細胞の染色が特異的に染まらないため、いくつかのクローンにて行ったが施行できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
尋常性乾癬の病変皮膚でのFoxp3,IL-17産生細胞の染色は一定した方法で継続できているが、γδT細胞については染色方法を変える必要がある。
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Causes of Carryover |
組織の免疫染色を含め研究のセットアップに時間がかかっており、予定より研究の進捗が遅れているため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
皮膚組織中のIL-17産生細胞のうちγδT細胞の染色を行ってきたが、現在の抗体では染色できないため、別のクローンの抗体を購入し、染色を行う予定である。しかしそれでも目的とする染色ができない場合は、増幅方法や固定方法をかえて施行する予定である。
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