2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアソーム阻害剤による皮膚障害におけるPSMB8の変異解析
Project/Area Number |
26860890
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
国本 佳代 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10438278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロテアソーム / 中條-西村症候群 / PSMB8遺伝子 / 自己炎症疾患 / 多発性骨髄腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
中條-西村症候群(NNS)は、プロテアソームの誘導型β5iサブユニットをコードするPSMB8遺伝子のG201Vホモ変異を原因とし、それに伴うプロテアソーム活性の低下により幼小児期から反復する弛張熱、凍瘡様の紅斑、筋炎、徐々に進行する脂肪筋肉萎縮、関節拘縮などの症状を呈する遺伝性自己炎症疾患である。 プロテアソーム阻害薬のボルテゾミブは、多発性骨髄腫の治療薬として臨床応用されているが、高頻度に皮膚障害を起こすことが知られている。そこで、プロテアソーム阻害薬により出現する皮疹とNNSの皮疹の異同を検討するため、本邦で報告されたボルテゾミブによる皮疹の組織を9例集め、ユビキチン蓄積と浸潤細胞について免疫組織化学的に検討し、NNS患者2例の皮疹の組織と比較検討した。ボルテゾミブによる皮疹のHE標本では血管周囲性あるいは真皮上層のリンパ球浸潤を主体としていたが、中には壊死性血管炎やSweet病様あるいは壊疽性膿皮症様の好中球浸潤を認める症例もあった。免疫組織化学染色では浸潤細胞においてミエロペルオキシダーゼ(MPO)は7例で陽性、CD4は7例で陽性、CD8は7例で陰性、CD68は8例で陽性、ユビキチンは付属器や浸潤細胞を中心に9例で陽性であった。一方、NNSの皮疹ではMPO、CD68、ユビキチンについては2例とも陽性であったが、CD4は陰性、CD8は陽性の結果であった。浸潤細胞のCD4、CD8の染色性の違いについては検討を要するが、組織への炎症細胞浸潤と炎症細胞の種類については両者の類似性が確認された。 ボルテゾミブによる皮疹が発症する症例において遺伝的背景にPSMB8遺伝子のG201Vヘテロ変異が存在する可能性を検討するため、組織から抽出したゲノムDNAをもとにPSMB8変異について検索したが、調べ得た6例にG201V変異はなかった。
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