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2014 Fiscal Year Research-status Report

無毛部皮膚エクリン汗腺におけるニューロトロフィン作用についての組織形態学的解析

Research Project

Project/Area Number 26860893
Research InstitutionKyorin University

Principal Investigator

長谷川 瑠美  杏林大学, 保健学部, 助教 (90453521)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2017-03-31
Keywordsエクリン汗腺 / 無毛部皮膚 / ニューロトロフィン / ラット / 免疫組織化学
Outline of Annual Research Achievements

手指を使って物を掴むといった作業の際に必要な、手掌を覆う無毛部皮膚にあるエクリン汗腺による適度な湿潤状態の維持には、脂腺が存在しないこともあり、エクリン汗腺への機能的な神経支配が中心的な役割を果たす事が先行研究によって示されてきた。さらに、エクリン汗腺の交感神経支配にはニューロトロフィン(NTs)、特にその一種である神経成長因子(NGF)が関与することも示されてきたが、その詳細は不明である。そこで本研究は、実験動物として汎用性があり日常的に物を掴む作業を行っている成獣ラットの前肢足蹠無毛部皮膚を対象として、平成26年度は、NT関連分子のうちNGF、およびその関連分子の分布をエクリン汗腺分泌部およびその周囲組織において調べた。具体的には、NGF、その受容体であるTrkA、NGF特異的ではないが同じく受容体であるp75を免疫組織化学的に検索したところ、p75免疫反応が無毛部皮膚エクリン汗腺分泌部を取り囲むように分布していた。この免疫反応の分布は、神経細胞のマーカーとして知られるPGP(protein gene product 9.5)とほぼ一致していた。また、この免疫反応は、エクリン汗腺と周囲の毛細血管の双方を支配するような分布を示していたが、このうち、明らかにエクリン汗腺分泌部を直接取り巻いており毛細血管支配とは関係しないく線維の分布がみられた。これらの所見は、成獣ラット後肢足蹠無毛部皮膚にも同様にみられた。一方で、TrkAおよびNGFに対する免疫組織化学的検索では良好な結果が得られなかった。従って、成獣ラット足蹠無毛部皮膚におけるエクリン汗腺分泌部を取り巻く神経線維は、p75が関与する何らかのNT作用を受けていることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

無毛部皮膚の成獣ラット前肢足蹠組織標本におけるエクリン汗腺やその近接組織の各構成細胞を区別する事が1つめの計画(計画1)であり、NGF、TrkA、p75分子の分布を調べる計画2を実施する際に必要と判断した標識分子を用いて、この計画1を遂行した。計画1,2の双方によってp75免疫反応がエクリン汗腺周囲やそのまた周囲の神経線維に分布することが明らかとなったが、例えばこの神経線維が交感神経線維である等の詳細を解明する為の標識分子を選定することは未達成に終わった。一方で、平行して行っていたNGFおよびTrkA分子の組織化学的な分布の検索は、複数の抗体を用いたにも関わらず良好な結果が得られなかった。計画4としていた成獣ラット後肢足蹠無毛部皮膚エクリン汗腺と上記前肢との組織構造やp75免疫反応分布の比較については、エクリン汗腺分泌部周囲に限ってではあるが達成した。しかしながら、同ラット前肢足蹠近辺の有毛部皮膚との比較は未達成である。また、計画3としていた当該汗腺の発達期である胎生後期・新生仔と、その分泌維持期である成獣ラットとのp75免疫反応の比較も達成することが出来なかった。上述の通り、研究内容については一定の達成度が得られたが、平成26年度中に学会にて成果発表を行うには至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

1.成獣ラット無毛部皮膚エクリン汗腺分泌部を主たる研究対象として、NGF、TrkA、p75以外のニューロトロフィン(NT)関連分子の分布を検索する。NGF、TrkAも先行研究から皮膚組織内に存在することが見込まれるので再度こちらにも取り組む。p75免疫反応を示す神経線維を共焦点レーザ走査顕微鏡にて可能な限り精確に解析する。
2.発達期ラットを対象として上記1を行う。
3.1の共焦点レーザ走査顕微鏡にて解析不可能な形態で且つ電子顕微鏡法を用いた超微細形態学的解析法により解明できる見込みがある細胞要素やNT関連分子は、超微細形態学的にその詳細を明らかにする。
4.平成26年度にp75に関して得られた結果を取り纏めて学会発表を行い、その学会参加時には今後の研究推進の方策についての情報を収集する。

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Published: 2016-06-01  

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