2014 Fiscal Year Research-status Report
天疱瘡・類天疱瘡における自己免疫原因遺伝子AIRE発現調節機構の遺伝的検討
Project/Area Number |
26860905
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
西川 竜平 久留米大学, 皮膚細胞生物学研究所, 研究員 (30534531)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Early endosome antigen 1 / EEA-1 / 天疱瘡 / 自己免疫疾患 / BIOCHIP / auto-antibody / pemphigus disease / autoimmune disease |
Outline of Annual Research Achievements |
[背景] 天疱瘡の自己抗原はdesmoglein、desmocollins、plakinが報告されている。しかし、これら3つの自己抗原で全ての天疱瘡が説明できるわけではなく、未だ知られていない天疱瘡自己抗原も存在すると考えられている。 [目的] 天疱瘡様の所見を示した患者血清中の新規自己抗原識別 [結果]天疱瘡様の症状を呈した患者由来の血清を用いImmunoblottingを行ったところ約175kDaの未知のタンパク質バンドを検出した。2次元ゲル電気泳動、immunoblottingおよび質量分析を用い、検出された約175kDaのたんぱく質バンドは患者血清中の自己抗体がEarly endosome antigen 1 (EEA-1)と反応したものであることを確認した。 患者血清を用いた皮膚切片の免疫蛍光検査法を行った結果を市販の抗-EEA-1モノクローナル抗体による染色結果と比較したところ、患者血清による皮膚切片の染色結果は市販の抗EEA-1抗体を用いた染色結果と類似した染色パターンを示し、細胞質が点状に染色された。さらに、我々は効率的に患者血清中の抗-EEA-1抗体を検出する目的でEEA-1 タンパク質全長をコードしたcDNAを使用し新規BIOCHIP分析法を開発した。その結果、最初の一例を除いた天疱瘡患者由来血清のいずれからもBIOCHIP分析では抗-EEA-1抗体の存在を検出できなかった。ただし、これまで抗EEA-1抗体を含有していることが判明している膠原病患者由来血清からはBIOCHIP法によりEEA-1を検出することができた。 [結論] 我々は天疱瘡様の所見を示した患者がEEA-1に対して自己抗体を持っていたことを示した。PNPを中心とした天疱瘡患者由来血清でEEA-1BIOCHIPをもちいて検索したところ、EEA-1は天疱瘡における共通の自己抗原ではないことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに以下の患者由来ゲノミックDNAサンプルを取得しAIREおよびその上流配列の解析にあたっている。尋常性天疱瘡患者由来ゲノミックDNA41サンプル(内訳:男性17サンプル、女性24サンプル)、粘膜皮膚型尋常性天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル3サンプル(内訳:男性2サンプル、女性1サンプル)、落葉状天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル35サンプル(内訳:男性15サンプル、女性20サンプル)、増殖性天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル3サンプル(内訳:男性1サンプル、女性2サンプル)、粘膜優位型尋常性天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル3サンプル(内訳:男性2サンプル、女性1サンプル)、口腔内優位型尋常性天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル2サンプル(男性1サンプル、女性1サンプル)、尋常性天疱瘡併発水疱性天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル1サンプル(内訳:女性1サンプルのみ)、主要随伴性天疱瘡患者由来ゲノミックDNAサンプル3サンプル(内訳:女性3サンプルのみ)。現在のところ約18.5kbp程度の長いPCR産物をprime STAR GXL Taq polymeraseを用いて作製しAIREタンパク質コーディング領域およびその上流領域の配列解析を行っているが特にSNPあるいはデリーション領域などは認められていない。これを受け、天疱瘡患者由来ゲノムのAIRE遺伝子領域周辺に特にSNPあるいはデリーションが見られなかった際のプロジェクトを開始した。EEA-1たんぱく質を同定しEuroimmune社と共同開発中のBIOCHIPを開発することで元の天疱瘡患者が抗EEA-1自己抗体を持つことを示した。現在論文投稿中(一度投稿後リバイス版を別の雑誌に投稿準備中)であり、これは当初予定していたの研究プロセスの進行状況とほぼ同じであると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては現在入手している患者由来ゲノムの解析をさらに上流に渡って進める方針としている。具体的には可能な限りクローニングを行い最大でAIREタンパク質コーディング領域40kb上流に至るまでの領域のクローニングおよび配列決定を行いたいと考えている。また、さらなる配列決定によりSNPなどに差異が見られた場合にはAIRE KOマウスなどを使用した天疱瘡モデル研究の遂行を予定している。
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Remarks |
上原記念生命科学財団研究報告集は本年度研究において170kDa周辺のEEA-1分子探索が求められた背景について記載された報告集にあたる。腫瘍随伴性天疱瘡の未知のp170プロジェクト全体像についての概要を2009年に述べられたもので本プロジェクトについての大枠を知る上で重要な記載が掲載されている。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Anti-EEA-1 autoantibodies in pemphigus diseases2014
Author(s)
Ryuhei Nishikawa, Hitoshi Takahashi,Mitsuhiro Matsuda,Kaoru Imaoka, Masahiro Ogawa, Kwesi Teye, Atsunari Tsuchisaka, Hiroshi Koga, Lars Komorowski, Christian Probst, Takahisa Hachiya, Marvin J Fritzler, Norito Ishii, Chika Ohata, Minao Furumura, Rafal P. Krol, Yoshinao Muro, Eishin Morita, and Takashi Hashimoto
Organizer
Simposium on Immunology
Place of Presentation
Main office Building, Conference Rooms 2 and 3 at Kurume University School of Medicine
Year and Date
2014-11-14 – 2014-11-14
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