2014 Fiscal Year Research-status Report
恐怖不安関連因子stathmin1のTLR3を介したミクログリア活性化機構の解明
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26860922
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山田 浩平 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 講師 (50588879)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | stahmin1 / ミクログリア / Toll-like receptor3 / 統合失調症 / 前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、恐怖不安行動関連因子であるstathmin1とミクログリアの活性化との関連性を検討することを目的としており、最終目標として統合失調症で起きているミクログリアの活性化にstathmin1が関与しているかどうかを検討することを掲げている。 平成26年度では統合失調症のモデル動物においてもミクログリアの活性化が確認されるかどうかを検討した。疾患モデルとして胎生期疑似的ウイルス感染モデル動物であるpoly I:C投与モデル動物を使用した。まず、胎生期の疑似的ウイルス感染により仔の行動に異常が観察されることがすでに報告されている胎生期13日目でpoly I:Cを母獣ラットに投与した。投与濃度は1、2.5、もしくは5 mg/kgとし、その後自然分娩させ、仔が8週齢(Adolescent)になった時点での脳内におけるミクログリアの活性化をミクログリアのマーカーであるIba1に対する抗体を用い免疫染色することで、ミクログリアの細胞数や細胞形態を検討した。その結果、すべてのpoly I:C投与群においてコントロール群と比較し前頭前野、海馬に存在するミクログリアの細胞形態に顕著な差は見られなかった。しかし、poly I:Cを5 mg/kg投与した群において前頭前野に存在しているミクログリアの数に増加傾向がみられた。そこで胎生期に投与するpoly I:C の濃度を20 mg/kgに増加させて同様の検討を行ったところ、明らかに前頭前野においてミクログリアの数が増加している結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に計画していた統合失調症のモデル動物でのミクログリアの活性化の検討はおおむね順調に実施することができた。ただし、感染強度としてのpoly I:Cの投与濃度の決定に大幅に時間を割くことになってしまった。当初予定していた、感染時期の検討(胎生期10日目と胎生期19日目での検討)を実施することができなかった。胎生期13日目に20 mg/kgのpoly I:Cを投与することで仔が8週齢になった時点での前頭前野におけるミクログリアの総数が増加することを明らかにしたことは大きな結果と言える。また、平成26年度には予定していなかったが、primary cultured microglia作製の立ち上げが時間が係ることが予想されたため、当初の予定より早期に準備に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では統合失調症モデル動物作製の条件検討に多くの時間を割くことになってしまったが、結果、最適な条件を見つけることに成功している。平成27年度ではこの条件を用い、平成26年度の研究計画の遅れを取り戻し、さらには平成27年度に予定している研究を滞りなく遂行する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に計画していた統合失調症のモデル動物でのミクログリアの活性化の検討はおおむね順調に実施することができたが、感染強度としてのpoly I:Cの投与濃度の検討に大幅に時間を割いてしまったため、当初の予定よりもだいぶ研究計画に遅れが生じてしまった。その結果次年度使用額が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度では研究計画に大きく遅れを生じてしまったが、研究を遂行する上で必要な条件を見い出すことに成功している。平成26年度に得た結果を活かし、平成27年度では研究計画の遅れを取り戻し、研究費も予定通り使用する。
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