2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔領域の疼痛性障害を対象とした痛覚閾値の定量的評価および精神医学的評価
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26860923
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徳倉 達也 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20378136)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 疼痛性障害 / 口腔内灼熱症候群 / 人格傾向 / サイトカイン / デュロキセチン / 抑うつ / 温冷覚閾値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の研究期間は平成26年度~28年度の合計3年間である。1年目にあたる今年度の進捗実績を以下に記載する。 1.新規症例の集積:口腔領域に非器質性慢性疼痛を有する患者21症例を新規に研究登録し、0週時点の血液及び各種評価尺度収集を行った。また、12週後、6ヶ月後、12か月後時点でのデータ収集も順次行っている(ただし血液は0週と12週後のみ)。2.人格傾向:既に収集済みの56症例の評価尺度の結果を用いて健常者との比較検討を行い、口腔内灼熱症候群患者に特有の人格特性として新奇性追求の低さを同定した。本結果を国際論文(別記)で発表した。3.血中ストレス関連物質:今年度予算で測定キットを購入し、既に収集済みの48症例の血液を用いて各種血中ストレス物質濃度を測定した。抑うつの有無に着目して解析を行ったところ、抑うつ群では非抑うつ群に比して特定のサイトカイン濃度が有意に高値であった。本結果は平成27年度の日本うつ病学会で共同演者として発表予定である。4.薬物血中濃度:抗うつ薬Duloxetineを用いて治療した患者のうち治療前後での血液を収集できた44症例において、Duloxetine血中濃度と疼痛軽減効果との関連について解析を行ったが、有意な関連は認めなかった。本結果を共同演者として国内学会で発表した(別記)。5.温冷覚閾値装置の段階的購入:今年度の予算を用いて温冷覚閾値装置intercross-2000(インタークロス社製)本体を購入した。次年度以降の予算を用いて周辺機器等の購入を行い、実験準備を進める予定である。6.その他:口腔領域の非器質性慢性疼痛患者の治療戦略と薬物療法について、日本語総説(別記)を作成した。口腔内非器質性慢性疼痛をはじめとした口腔心身症患者の精神医学的プロフィールについて疫学的検討を行い、共同演者として国際学会で発表した(別記)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規症例の登録は順調に進んでおり、平成27年度以降も同様のペースで新規症例の集積が可能な見込みである。また、血中ストレス関連物質、薬物血中濃度、疼痛、抑うつ症状、人格傾向、抑うつといった各種評価項目についての測定および解析を順次進めることができており、その結果の一部は学会発表や論文の形で発表を行うことができている。 一方で、申請金額通りの予算を獲得することができなかったことから、温冷覚閾値測定についてはその機器本体とソフトウェアを購入するにとどまっており、実験系に必要な周辺機器等の購入はできていない。そのため、現時点では実際の測定は行うことができず準備段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
新規患者50症例の集積を目標として、現在のペースで新規登録を継続する。 症例集積が進むことで6ヶ月後・12か月後といった長期的経過と各種評価尺度との関連についての検討も可能となる。次年度は、まず口腔内灼熱症候群患者の人格傾向と長期的な治療経過との関連について予備的解析を行う予定とする。また、薬物血中濃度や血中ストレス関連物質に関しても、今年度得られた結果をもとに論文作成を進めていく。 温冷覚閾値装置については、今年度購入することができた機器本体とソフトウェアに加えて周辺機器等の購入を行い、測定の具体的準備を整えていく。研究期間中に実際の測定を始めて口腔内灼熱症候群患者の温冷覚・痛覚閾値の特徴について健常者との比較検討を行い、一定の成果を得ることを目標とする。
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Causes of Carryover |
温冷覚閾値装置intercross-2000本体および血中物質測定キットの購入の際に、業者との価格交渉を積極的に行った。そのため、購入費用の低減に成功し、32,337円を次年度に持ち越すことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の物品費に補充し、温冷覚閾値装置の周辺機器購入にあてる計画を立案している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Temperament and character profile of the patients with burning mouth syndrome.2015
Author(s)
Tokura T, Kimura H, Ito M, Nagashima W, Sato N, Kimura Y, Arao M, Aleksic B, Yoshida K, Kurita K, Ozaki N.
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Journal Title
J Psychosomatic Res.
Volume: 78
Pages: 495-498
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 口腔顔面領域における疼痛性障害に対するDuloxetineの疼痛軽減効果と血中濃度の関連について.2014
Author(s)
小林由佳, 長島渉, 徳倉達也, 木村宏之, 伊藤幹子, 荒尾宗孝, 宮内倫也, 梅村恵理, 立花昌子, 栗田賢一, 尾崎紀夫.
Organizer
第24回日本臨床精神神経薬理学会・第44回日本神経精神薬理学会 合同年会.
Place of Presentation
名古屋国際会議場(名古屋市)
Year and Date
2014-11-20 – 2014-11-22
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[Presentation] 血小板におけるユビキチン化セロトニントランスポーターの発現とパーソナリティとの関連性.2014
Author(s)
横山美里, 毛利彰宏, 木村真理, 椿井朋, 肥田裕丈, 木村宏之, 徳倉達也, 吉見陽, 河野直子, 國本正子, 尾崎紀夫, 鍋島俊隆, 野田幸裕.
Organizer
第24回日本臨床精神神経薬理学会・第44回日本神経精神薬理学会 合同年会.
Place of Presentation
名古屋国際会議場(名古屋市)
Year and Date
2014-11-20 – 2014-11-22
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[Presentation] Psychiatric profiles of patients with oral psychosomatic disorders - 16-year study in Japan.2014
Author(s)
Umemura E, Ito M, Nagashima W, Tokura T, Kimura H, Arao M, Kobayashi Y, Miyauchi T, Ozaki N, Kurita K.
Organizer
第2回日米韓合同口腔外科学会.
Place of Presentation
Hawaii, USA
Year and Date
2014-09-08 – 2014-09-13
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[Presentation] 末梢血におけるセロトニントランスポーターの代謝調節と情動性の関連解析.2014
Author(s)
毛利彰宏, 横山美里, 木村真理, 椿井 朋, 肥田裕丈, 木村宏之, 徳倉達也, 吉見陽, 河野直子, 國本正子, 尾崎紀夫, 鍋島俊隆, 野田幸裕.
Organizer
次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム2014.
Place of Presentation
近畿大学東大阪キャンパス(東大阪市)
Year and Date
2014-08-30 – 2014-08-30