2015 Fiscal Year Annual Research Report
microRNAがもたらす神経可塑性変化によって抗うつ効果が発揮されるか?
Project/Area Number |
26860930
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
樋口 文宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60711249)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | microRNA-124 / うつ病 / 神経可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
気分障害をはじめとする様々な精神疾患の病態にエピジェネティックな遺伝子発現調整異常が示唆されており、microRNAもその一つであるが、microRNAの高次脳機能に対する役割の解析は少ない。当研究室が独自に確立したうつ病モデルマウスの脳海馬組織においてmicroRNA発現量を検討したところ、うつ状態のマウスでのmicroRNA-124(miR-124)の発現量低下と、抗うつ薬を投与したマウスのmiR-124発現量の回復がみられたため、miR-124がうつ病の病態に関与している可能性が考えられた。そのため、本研究ではmiR-124が関与するうつ病の病態メカニズムを分子レベルで検討することとした。 平成26年度は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤)であるSAHAが抗うつ効果を有すること、SAHA投与によりmiR-124発現量が増加すること、SAHAが神経可塑性に影響を与えることから、miR-124とSAHAの関連や、miR-124が神経可塑性に与える影響について検討した。 平成27年度は、正常のマウス海馬でmiR-124発現量を増加させても減少させてもマウスの行動は変化することがなかったが、一方でマウス海馬においてmiR-124発現量を増加させておくと、ストレスを負荷してもマウスがうつ状態にならず、その際に神経可塑性が変化していることを発見した。さらにmiR-124の標的分子であるHDAC4やHDAC5やGSK3βを発現抑制することで、抗うつ効果を発揮することを発見した。 以上から、マウス海馬において、miR-124がHDAC4やHDAC5やGSK3βの発現制御を行うことで神経可塑性を変化させ、抗うつ効果を発揮している可能性が示唆された。
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