2015 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症におけるアセチルコリン、GABA/グルタミン酸機能と認知機能障害の関連
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26860941
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
高橋 隼 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10508021)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 認知機能障害 / GABA/グルタミン酸機能 / アセチルコリン機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では経頭蓋磁気刺激を用い、統合失調症のアセチルコリン機能、GABA/グルタミン酸機能と認知機能障害の関連を検討している。 平成27年度の成果としては、2連発経頭蓋磁気刺激(paired pulse transcranial magnetic stimulation: ppTMS)を用いた検討で、統合失調症群において健常群と比較して皮質内抑制の減弱と皮質内促通の増強が認められ、皮質内促通と罹病期間に有意な相関が認められた。この結果は統合失調症ではGABA/グルタミン酸機能が障害され皮質興奮性が増強しており、皮質興奮性の増強が罹病期間と関連することを示唆する。さらに本検討では統合失調症群において皮質内促通と注意課題、運動課題の成績に相関が認められ、統合失調症の皮質興奮性の増強と認知機能障害の関連が示唆された。これらの結果はWPA regional congress Osaka Japan 2015で発表した。 さらに、当教室で取り組んでいるGABA/グルタミン酸機能を評価するppTMS、アセチルコリン機能を評価するshort latency afferent inhibition(SAI)、脳部位間結合性を評価するrepetitive TMS/near-infrared spectroscopy(rTMS/NIRS)同時測定の神経精神疾患の病態研究への応用をまとめ、第45回日本臨床神経生理学会学術大会で発表した。当教室で用いているppTMS、SAIにおいては、皮質興奮性の評価が運動野に限定されるという限界がある。今後はTMSと脳機能画像を組み合わせて刺激遠隔部の神経活動変化を評価するなど、神経ネットワークの障害の視点も含めてより包括的に統合失調症の認知機能障害の病態解明に取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
統合失調症におけるGABA/グルタミン酸機能の進行性変化と認知機能障害の横断的な検討をすすめることができたが、縦断的な検討についてはデータ収集が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
局所的な皮質興奮性の検討だけではなく、神経ネットワークの障害など包括的な視点で統合失調症の認知機能障害の病態解明に取り組みたい。また、統合失調症において神経認知機能の障害が社会機能や生活機能にどのように関連しているかを検討し、患者の生活の質の向上に寄与することを意識して研究をすすめたい。
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Causes of Carryover |
平成27年度は2連発経頭蓋磁気刺激やShort latency afferent inhibitionの測定機器の整備や修繕に経費を用いる必要がなかった。また参加した国際学会が日本開催であったため、海外渡航経費を用いる必要がなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測定機器のメンテナンスおよび成果発表等に経費を使用する。
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Research Products
(7 results)