2015 Fiscal Year Research-status Report
プレシナプスドーパミン神経伝達異常に着目した新規抗精神病作用の標的探索
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26860942
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
有銘 預世布 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80609404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗精神病薬 / 受容体占有率 / 行動 / 動物モデル / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は液体クロマトグラフィー接続型質量分析装置(LC-MS/MS)を用いて臨床用量を反映したマウスにおける抗精神病薬慢性投与法を開発し、定量的標的プロテオミクス解析を行うこと、またフェンサイクリジン(PCP)慢性投与マウスにおいて行動学的、組織学的手法を用いて神経系及び行動の障害とその原因について解析することによって、新規抗精神病作用の標的を探索することを目的とする。本年度では、マウス線条体のin vivoにおける抗精神病薬慢性投与時の受容体占有率を解析するため、LC-MS/MSにUPLCシステムを用いたS-racloprideなどの迅速定量系を所属機関に導入したLC-MS/MSにおいて構築した。さらに、LC-MS/MSを用いて定量的標的プロテオミクス解析を行うためのMS測定条件最適化を27種のタンパク質特異的ペプチドにおいて各々実施した。次に、前年度に整備した温度・湿度・照度等を制御できる行動実験用防音室において内側前頭前野皮質のドーパミン神経系が重要な役割を果たすワーキングメモリー(WM)をPCP慢性投与マウスにおいて解析した結果、生理食塩水慢性投与マウス(control)と比較して有意な正答率の低下によるWM障害を見出した。WM障害関連部位を探索するため神経活動に応答して誘導される転写因子であるc-Fosタンパク質陽性細胞をWM課題負荷後にマッピングした結果、controlと比較して内側前頭前野皮質内部の前辺縁皮質(PL)の2-3層で特異的なWM課題試行時の神経活性化亢進が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では、所属機関に新たに導入したLC-MS/MSにおける実験系の構築に多くの時間を要したが、構築後から今後に渡って共同研究先の研究機関へLC-MS/MSを使用するための出張を行わずに所属機関で測定から解析まで行えるため、結果的に時間と予算において効率的かつ持続的な体制を確立することができた。また、新規抗精神病作用の標的部位を探索する上で重要となる動物モデルが示す行動障害に関わる脳領域を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの構築した実験系及び研究成果をもとに、in vivo受容体結合実験によりヒト線条体の臨床用量を反映する慢性投与方法をマウスにおいて開発し、現在の抗精神病薬の作用部位として重要な線条体及びPCP慢性投与マウスのWM障害に重要な脳部位として同定した内側前頭前野皮質において細胞分画したサンプルにおいて定量プロテオミクス解析を実施する。
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Causes of Carryover |
共同研究先である東北大学薬物送達学分野(宮城県)に出張して行っていたLC-MS/MSを用いた実験系を所属機関の獨協医科大学(栃木県)において同様のLC-MS/MSを導入し、実験及び解析が行えるように実験系を構築したため、出張回数が予定よりも減少し本年度の旅費使用額が減少したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成27年度までに構築した実験系でのデータ取得及びその解析に使用する事に加え、得られた知見を国際学会等で発表する旅費にも使用する。
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Research Products
(2 results)