2014 Fiscal Year Research-status Report
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26860948
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
土屋 孔明 創価大学, 工学部, 助教 (80708462)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | てんかん病 / キンドリング / HCNチャネル / ADHD |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、複数の実験てんかんモデルを用いて、HCNチャネルの抗てんかん薬標的部位としての有用性を発作抑制及び脳機能改善という点より検討することである。平成26年度では、てんかん様発作波の発現抑制にたいする間接的HCNチャネル阻害剤であるGuanfacine・HClの投与効果を明らかにするために、側頭葉てんかんの動物モデルであるキンドリングモデルを用い、キンドリング完成後の後発射抑制効果を検討した。慢性実験での薬剤投与効果の検証を効率良く行う為に、はじめに、急性モデルを用いた薬物実験を行い、投与候補となる薬物の抗てんかん性の有無、有効濃度を検証する事とした。具体的には、ウサギの海馬CA1領域を標的に電極を刺入し、麻酔下で急性キンドリングを行った。キンドリング刺激は、後発射(AD)を誘発するのに十分な刺激強度に設定し、手術後1時間安定させた後、20 分間隔で投入した。刺激回数は 30 回を目安とし、先行研究(Epilepsy Research Vol. 95: pp. 144-151, 2011) において確認された、後発射における周波数成分の変化(低周波数成分帯の減少と高周波数成分帯の増加)が確認された時点でモデルの完成とした。キンドリング完成後、キンドリング刺激に対する、間接的なHCNチャネル阻害剤であるGuanfacine・HClの抗てんかん効果を複数の濃度において検討した。結果、HCNチャネルの間接的阻害剤である、Guanfacine・HClは、濃度依存的にキンドリング完成状態におけるてんかん様発作波の発現を抑制した。特に、5mM、100μl、6回投与の条件では、7割近い抑制効果を示し、HCNチャネルの抗てんかん薬標的部位としての有用性が示唆された。現在は、これ等得られた結果をもとに、運動発作面での変化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HCNチャネル標的薬の抗てんかん効果の検討自体は順調に進んでいる。しかしながら、慢性実験での検討をより効率良く行う為に、急性モデルを用いた薬剤効果の検討を行った結果、慢性実験の施行がやや遅れている。急性実験における結果から、抗てんかん効果を示し得る薬剤と、その有効濃度に目処がついたので、今後はその結果を基に、慢性モデルでの検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性的なてんかん状態を獲得したSDラットに対し、Guanfacine・HCl等のHCNチャネル阻害剤を投与し、運動発作の頻度、症状の変化、記憶・学習能力等の脳機能変化について検討する。使用薬物、具体的な投与濃度は、平成26年度に得られた結果を基に決定する。また、薬剤は血液脳関門を通過することが出来るものを優先的に選択し、腹腔内投与による効果を検討、新規抗てんかん薬としての有効性を検証する。慢性モデルには、キンドリングモデル、カイニン酸投与によるてんかんモデルを用いる。構築した両モデルに対し、前年度で効果の確認できたHCN標的薬を投与し、てんかん症状への効果を検討する。また、運動発作に対する影響をビデオ脳波モニタリングにより、記憶・学習機能への影響をモリス水迷路によりそれぞれ検討する予定である
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Causes of Carryover |
急性モデルのモデル構築成功率が高く、使用した薬物も想定した濃度よりも低い濃度で抗てんかん効果を示したので、消耗品の購入が予定よりも少なくすみ、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額については、平成27年度請求額と合わせて、慢性モデルを用いた実験に必要となる経費として使用する。また、これまでの実験で、使用したHCN標的薬が抗てんかん作用を有意に示す為に必要な濃度を確認することが出来たので、HCNチャネル周辺のシグナル経路に影響を与える薬剤を購入、併用効果を検討するなどして、HCNチャネルの抗てんかん薬標的部位としての有用性を多角的に検討する。
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Research Products
(2 results)