2015 Fiscal Year Research-status Report
緑内障の客観的早期診断法の開発に向けて~脳MRIはバイオマーカーとなり得るか?
Project/Area Number |
26860971
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舘脇 康子 東北大学, 大学病院, 助教 (40722202)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緑内障 / MRI / BDNF |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は緑内障に関連した脳視路変性とBDNF(brain derived neurotrophic factor)の血清濃度や遺伝子多型との関連を、各種MRI画像を客観的指標として使用することにより明らかにするという目的を持って行っている。 1.被験者のリクルートとデータ採取:H27年度は前年度に続き、健常者3名、緑内障患者25名に対して横断的データ採取(眼科検査データ、各種MRI画像、心理検査、血液データ)を行った。H28年1月からはMRI撮像場所を申請者の所属施設である加齢研に移し、機能的MRIを加えて、構造と機能の両面を捉えることのできる他角的なデータ採取を行っている。 2. BDNF:採取した血液サンプルは共同研究機関で血清および血漿分画に分離精製し、凍結保存を行っている。 3. 脳MRI画像の解析:健常コントロールとなるすべての健常者のMRI画像の取得を終了し(横断データ)、データの解析を開始した。 4. 成果報告:解析したデータの一部は、H27年6月のOHBM国際学会および9月の核磁気共鳴学会、10月の日本臨床眼科学会にて成果報告を行った。前二つの発表は、健常者の中枢視路を新規の撮像法を含めてMRIにて客観的にかつ定量的に測定して、その加齢変化を明らかにした画期的報告で、今後、緑内障患者の中枢視路変性を測定していくうえでの重要な健常者データベースとなる。最後の発表は、緑内障患者の視神経の変性をMRIで捉えて、眼科的なデータとの相関性を明らかにした報告で、今後、MRIが緑内障の疾患重症度を示すひとつの客観的なバイオマーカーとなりうることを示す重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
縦断研究の二年目に際し、これまでMRIデータを取得していた大学病院の装置から東北大学加齢医学研究所のMRI装置へとデータ採取場所を変更した。そのため、装置の画質調整や研究遂行の人員の確保などに数ヶ月の時間を要し、当初の予定よりもデータ採取の進行が後ろにずれこんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、前年度までの大学病院の診療枠内での2件/週のデータ採取から、加齢医学研究所のMRI装置へと移行したことにより最大6件/週までMRIデータ取得枠が拡大した。さらに、大学院生や東北大学の女性研究者支援事業により派遣されている研究支援要員などの助力を得ることができるため、精力的なデータ収集が可能であり、H29年度初旬までに縦断データ収集を完遂することができると見込んでいる。
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Causes of Carryover |
昨年度からMRIのデータ採取開始が遅れたこと、今年度の縦断研究2年目のMRI撮像の準備期間が数ヶ月あったことで、予定よりもデータ取得数が少なかった。そのため、残りのデータ採取にかかわる謝金や検査費用などを次年度に繰り越す必要性が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は残りの被験者のデータ採取を継続するため、これにかかわる謝金や検査費用として使用する予定である。
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