2014 Fiscal Year Research-status Report
放射線照射とNSAIDsの併用による新規腫瘍免疫賦活療法の基礎的研究
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26860976
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 健之 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20726442)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DAMPs / セレコキシブ / ERストレス / 免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
局所放射線治療と celecoxib の併用療法の根拠を確立するために、扁平上皮癌細胞SCC7をマウス大腿部皮下に移植し、その治療効果を確認した。続いてその治療効果のメカニズムについての検証を行った。CelecoxibとX線の併用治療は、それぞれの単独治療群と比較して、強く腫瘍の増殖を抑える事が出来る事がわかった。実験では、この腫瘍退縮の際の移植腫瘍細胞に対する免疫反応の樹立を確認するため、さらに任意の日数経過後、初回の移植とは逆側の脚に同様の腫瘍細胞の再移植を行った。併用治療を行ったマウスの半数は治療開始から約1ヶ月後に完全に腫瘍が退縮することが確認されたが、これらのマウスに対しての再移植では、すべてのマウスで再移植細胞の拒絶が起こり、腫瘍が増殖することはなかった。そして治療から100日間経過観察を行ったが、初回移植の腫瘍細胞も再増殖することはなかった。この腫瘍退縮と免疫反応惹起のメカニズムに関して検証を行ったところ、計画当初の予想でも示した通り、放射線とcelecoxibの併用は強いERストレスを惹起し、腫瘍内の免疫賦活に関わるであろうDAMPsの発現を上昇させることが確認された。 今回、放射線との併用で用いたcelecoxibは、本来は炎症に関わるPGE2を阻害する働きを持つ薬剤である。腫瘍内ではPGE2が免疫反応を抑制し、腫瘍に対する様々な治療の効果を減弱していると考えられている。本研究はcelecoxibがPGE2の阻害作用に加えて、免疫反応を惹起するDAMPsを強発現させ、治療効果を高める可能性があるという事を明らかにする所に意義がある。本年度はDAMPsを始め、腫瘍内微小環境での免疫反応について更なる検証を進めて行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの実験が主なので、一回の実験の結果がでるまで、数ヶ月を要する事がある。治療効果が現れてから、意味のある次期にサンプルを取る事が出来るかが重要で、さらにその検証の為に時間を要する。 このような実験のため進捗はスローペースではあるが、当初の予想にもある結果が最近になって出始めた。結果が出るポイントが分かったので、来年度に向けてペースをあげて検証に臨みたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、治療後のマウス生体内の免疫反応について検討を進めていく。前年度の検討により特に腫瘍抑制効果の高かった CXB との併用照射計画の再現性を確認し、1) 併用処理後の放射線照射局所、ならびに腫瘍周辺の CD4、CD8 の免疫染色を行う。また、2) 摘出した所属リンパ節、脾臓をホモジナイズし、フローサイトメトリーにより CD4、CD8 陽性細胞の変化を数値的に解析する。3) そして前年度に得られた小胞体ストレス惹起作用、DAMPs 誘導作用、細胞死誘導作用との相関解析を行う。また、4) CXB の本来の作用である炎症性サイトカイン PGE2 の阻害作用についても検証を進める。 併用処理から任意の時間経過後のマウスより血液を採取し、血清中の PGE2 の濃度変化を ELISA 法により検出する。
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Causes of Carryover |
前年度、物品の納入が遅れたために、科研費で請求した部分が支払いに間に合わなくなった。そのため、急遽、大学支給の教育費より支出したため、その分の金額が浮いてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に繰り越しし、物品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)