2014 Fiscal Year Research-status Report
重粒子線がん治療におけるスペーサー手術の評価および新たな手法の開発
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26860979
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
清原 浩樹 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10344920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重粒子線治療 / スペーサー手術 / 大腸癌 / 粒子線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
重粒子線がん治療におけるスペーサー手術の現在の有効性と安全性を評価し解析すること、またスペーサー手術で用いられる既存の材料に関する放射線物理学的な検討を行うとともに、新たな材料の開発につながる物理学的検討を行うことを本研究の目的としている。本年度の研究計画として、これまでスペーサー挿入術が施行された重粒子線治療症例について、手術の有無による線量分布の相違を解析し、腫瘍制御および有害事象低減に関する有効性・安全性を評価すること、重粒子線治療を行う際のスペーサー挿入術に対する放射線腫瘍医のニーズと、スペーサー挿入術を実施する際に外科医が必要とする情報を抽出し、それらが伝達・共有される手法を検討することを実施した。 これまでにスペーサー手術を行い重粒子線治療を行った症例のデータ抽出および解析が進められており、スペーサー手術の有用性と安全性が確立していることが見出された。来年度中に国際誌に論文投稿する予定である。また当研究によって得られたデータを元にした、大腸癌に対する重粒子線治療の有用性に関する論文を著作した。こちらについても今後国際学会での発表および国際誌への投稿が予定中である。 またスペーサー研究会への参加により、現在もっぱら用いられているゴアテックスシートだけでなく、現在神戸大学・兵庫県立粒子線医療センターを中心に進行中の新規素材による吸収性スペーサー開発のための臨床試験についての知見を広め、群馬大学でも進捗中である異なる方式によるスペーサー開発にも参画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重粒子線治療におけるこれまでのスペーサー手術の有用性・安全性に関するデータ集計がほぼ完了し、論文作成を進めており、予定通り論文投稿が予定されている。また外科医とのニーズの確認および連携に必要なツールの確認も実施され、次年度以降に実臨床上で運用を始められるめどが立った。またスペーサー手術を行った大腸癌症例の重粒子線治療成績も研究発表される予定であり、おおむね今年度の予定は達成されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで既存で用いられた人工物の放射線物理学的特性を解析し、どのような人工物がスペーサー挿入術にふさわしいかを評価するとともに、使用可能な新規人工物を検討し、その物理学的特性の評価や生体に与える影響、並びに実際の使用した際の有用性・安全性を評価する予定である。また今年度に引き続き、実際にスペーサー手術前に放射線腫瘍医が求めるニーズを外科医に提示する方法として、期待するスペーサー挿入位置と仮想となるプランを前もって作成し、手術室で表示する手法を試用しており、その一環として、院内の電子カルテ端末を用いた情報提示方法に加えて、情報処理能力がより高く操作性に優れたタブレット端末や画像処理ソフトなどのデジタル機器を用いた新たな運用方法を確立する予定である。こうした研究のなかから得られたデータを随時発表する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度に研究発表予定であった学会参加を行わず、旅費が減ったこと、また人件費として英文校正が次年度となったことが理由と考えられます。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に行う学会発表ならびに国際誌への論文投稿に際しての英文校正等に使用いたします。
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