2014 Fiscal Year Research-status Report
Brachytherapy using radiolabeled thermo-responsive polymers that self-aggregate in tumor tissues
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26860991
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐野 紘平 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00546476)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射性医薬品 / イメージング / 内用放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、治療用ベータ-線放出核種であるイットリウム-90(90Y)の高い腫瘍集積性と正常組織における不必要な被曝の低減を同時に達成しうる新たな内用放射線療法を確立することにある。そのために、熱により凝集するポリオキサゾリン誘導体を利用し、その90Y標識体について、温熱療法との併用による高い腫瘍集積性および腫瘍縮小効果の達成を目指す。熱凝集前のポリマーは比較的速やかな生体クリアランスを示すことが予想され、副作用の低減につながることから、上記に示す目的を達成できるものと考える。 今年度は、熱応答凝集性ポリオキサゾリン誘導体の合成および基礎特性評価、キレート剤を介した放射性金属核種による標識法の確立、正常マウスにおける体内分布評価を実施し、以下の結果を得た。 (1)熱応答凝集性ポリオキサゾリン誘導体の合成および基礎特性評価:側鎖にエチル基、イソプロピル基、プロピル基を有するオキサゾリン誘導体を用いて、分子量5kDa~20kDa程度のポリマーを合成した。それらの凝集温度は、およそ20~70℃であった。 (2)キレート剤を介した放射性金属核種による標識法の確立:ポリマー末端にアミノ基を導入し、そこにキレート剤であるDOTA誘導体を結合させた。インジウム-111(111In)を用いた標識を行い、放射化学的純度99%以上で標識体を得た。 (3)正常マウスにおける体内分布評価:凝集温度の異なるポリマーをマウス尾静脈より投与し、体内分布を調べた。凝集温度が体温より低いポリマーは、体内で速やかに凝集し、肝臓や脾臓に高く集積した一方で、凝集温度が体温より高いポリマーは、顕著な臓器集積性は示さなかった。これらの結果より、温熱療法の適用温度域で凝集するポリマーは比較的速やかに体内からクリアランスされることから、被曝の低減につながるものと推測できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、温熱療法の適用温度域で凝集するポリマーを合成し、その111In標識体を高い放射化学的純度で得た。正常マウスにおける体内分布実験では、凝集温度の違いにより体内分布動態が大きく異なることを見出した。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、今年度合成法を構築した111In標識ポリオキサゾリン誘導体を担がんマウスに投与し、インビボの実験系で内用療法の可能性を検証する。具体的には、40~43℃で凝集性を示す111In標識ポリオキサゾリン誘導体を担がんマウスに投与し、腫瘍部位を加温することによりプローブの腫瘍集積性が向上するか調査する。この体内動態評価の結果に基づき、被曝線量および適切な放射能投与量を設定した後、90Y標識ポリオキサゾリン誘導体と温熱療法を組み合わせた治療実験を行い、治療効果および副作用を評価する。
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Research Products
(1 results)