2014 Fiscal Year Research-status Report
放射光マイクロビームX線を用いた放射線抵抗腫瘍に対する超高線量放射線治療の検討
Project/Area Number |
26860998
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
椋本 成俊 神戸大学, 医学部附属病院, 特命技術員 (70634278)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 放射光 / マイクロビームX線 / 正常組織耐容線量 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、次世代の高精度放射線治療として、強度変調放射線治療(IMRT)など線量率を可変させながらX 線照射を行い、総線量を積算する治療法が実施されているが、局所的超高線量X 線照射が生体に与える影響は不明な点が多い。本研究では大型放射光施設(SPring-8)から供給される放射光を用いてスリット幅25μm から数mm の高精細スリット状照射を多方向から組み合わせ腫瘍本体に超高線量を収束する照射法を開発し、難治悪性腫瘍に対する新たな治療戦略の基礎とすべく、腫瘍組織への反応・正常組織有害事象の両面から最適な照射線量やビーム幅等を検討する。腫瘍組織への反応に関しては移植腫瘍の増殖抑制効果を中心に検討し、正常組織への影響は病理組織学的評価だけでなく機能学的行動試験も実施する。最終的にSPring-8の放射光のみならず小型シンクロトロンにおけるスリット照射やグリッド照射の可能性を探索する重要な基盤データとなるように検討を加える。 SPring-8 から供給されるMicrobeam は、実際の臨床で利用されるメガボルトX線と比べ、非常にエネルギーが低く、照射深度により生体内での線量分布は大きく変化することが予想される。平成26年度の検討では、水等価ファントムを用いて、動物実験と同様の照射条件を再現しつつ、深部での線量分布を検証するためにファントムに装填したガフクロミックフィルムを用いてビームデータの取得を行った。 さらに正常組織耐容線量に関してはこれまでの研究成果をもとに定位的固定が可能な脳を選択し、半脳やなどの局所的な照射を行い、被照射体積に対する最大照射線量の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大型放射光施設(SPring-8)は世界で有数の放射光施設であり、電子の加速エネルギーは8GeVと世界最大を誇っている。そのため、我々の研究している放射線治療の分野のみならず、物質の組成解析など多岐にわたる研究申請がなされており、マシンタイムの確保は困難である。平成26年度に獲得できたマシンタイムは4回であり、線量分布検証とマウスの脳への照射実験を並行して行ってきたが、十分な再現性を確認するには至っておらず、平成27年度も抗腫瘍効果の検討とともに正常組織耐容線量に関しても継続して実験を実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの脳への照射実験に関して再現性を確認するための実験を予定している。また、抗腫瘍効果の確認に向けて移植腫瘍モデルマウスの作成にも着手している。平成27年度のSPring-8への実験申請を予定している。
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Causes of Carryover |
大型放射光施設SPring-8のマシンタイムが当初の予定より少なく、マシンタイム使用一時負担金や実験遂行に必要な動物購入費用、飼育費、SPring-8および神戸大学間の往復旅費等が予定額よりも少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度も継続して実験予定であり、平成26年度に実施できなかった項目も実施予定であるため。前年度に使用できなかった分も含めて使用予定である。
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Research Products
(3 results)