2014 Fiscal Year Research-status Report
DNA修復蛋白の発現を利用した放射線治療効果の予測
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26861010
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 智一 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80631168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 前立腺癌 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線による細胞死では、DNA損傷の一つであるDNA二重鎖切断が重要であり、その主な修復機構の一つに非相同末端結合がある。これに関与する蛋白として、XRCC4、DNA-PKcs、Ku70、Ku86があるが、これらの蛋白発現の強度と放射線治療成績の相関性を解析し、治療効果の予測因子となりうるかを検討した。対象は2001年から2010年において前立腺癌と診断された100例である。病期分類はUICCによるTstage分類でT1c 57例、T2以上43例、D'amicoのリスク分類でlow risk 13例、intermediate risk 37例、high risk 50例であった。放射線治療は、3D CRTで70グレイ、IMRTで76グレイを照射した。ホルモン療法は、intermediated risk,high risk群で施行された。 治療前における、生検組織を用いて、前述した蛋白について免疫染色を行った。標本の腫瘍組織の中で最も強く染色される領域について、蛋白の発現率を算出した。PSA非再発率をエンドポイントとして解析すると、Ku70の発現率は単変量解析において、T stage、照射方法(照射線量)と共に、有意な、独立した予後因子であった。 PSA非再発率を従属変数、年齢(70歳)、照射方法、T stage、 グリソンスコア、などの因子を独立変数として多変量解析を行うと、グリソンスコア、照射方法とともに、有意な、独立した予後因子であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つとして、生検標本を使用した免疫組織染色による放射線治療効果予測法の確立を目指すことがあるが、前立腺癌で、有望な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
生検標本を使用した免疫組織染色による放射線治療効果予測法の確立のための研究をさらに進める。この研究と並行して、リンパ細胞のDNA-PK活性の測定による放射線障害予測法の確立の研究も行う。
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Causes of Carryover |
すでに研究室にあった消耗品を使用して研究を行ったため、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の残額と平成27年度の直接経費を使用して、免疫組織染色やリンパ細胞のDNA-PK活性の測定、in vitroの研究を行う。これらの研究における消耗品、実験補助のための人件費、学会参加のための費用などに使用する予定である。
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