2015 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復蛋白の発現を利用した放射線治療効果の予測
Project/Area Number |
26861010
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 智一 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80631168)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 前立腺癌 / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌の治療方針は、T stage、グリソンスコア、PSA値によって決定される。これらの臨床所見は放射線治療後の前立腺癌の局所再発を予測するリスク因子としては十分ではない。放射線感受性に関する指標が局所再発の可能性を予測するうえで必要とされる。 方法:2007年8月から2010年10月までの期間にIMRT(強度変調放射線治療)による放射線治療を受けた前立腺癌患者の58例について探索群として解析し、2001年3月から2007年5月までの期間に3DCRT(3次元放射線治療)を受けた前立腺癌患者42例について検証群として解析した。病理標本を用いて非相同末端結合修復に関与する蛋白について免疫組織染色を施行した。 結果:Ku70の発現は様々な臨床所見(例えばグリソンスコア、D’amicoリスク分類)と相関がなく、独立した予測因子であった。PSA再発の予測因子として、グリソンスコア単独と比較してグリソンスコアとKu70発現を組み合わせると予測能が著しく上昇した。放射線治療とホルモン治療を併用した患者において、グリソンスコア7以下またはKu70低発現の患者ではPSA再発は一例も認めなかった。一方で、グリソンスコア8以上かつKu70高発現の患者では高いPSA再発率を示した。検証群でも同様の結果を得た。 結論:76Gyの放射線治療とホルモン療法はグリソンスコア7以下またはKu70低発現の患者においては効果的な治療方法であるが、グリソンスコア8以上かつKu70高発現の患者においては十分ではなく、他の治療アプローチを必要とするかもしれない。
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